切削加工業界に関する展示会の開催実績から今がわかるデータをまとめて確認したいと困っていませんか。
この記事を書いた私は工具メーカーでの営業・マーケティングの経験を活かし、切削工具と切削加工業界に特化した専門サイト「タクミセンパイ」を2020年から運営しています。
2021年時点で公開されている開催実績をわかりやすく表現、一部組み合わせて本記事を執筆しました。
本記事では日本最大の国際工作機械見本市「JIMTOF」と、日本最大級の工作機械見本市「MECT」の来場者数推移をまとめています。
この記事を読むことで、日本の2大工作機械見本市の来場者数推移と現状を把握することができます。
JIMTOFもMECTもリーマンショック以降来場者数が落ち込んでおり、それが回復していたタイミングでJIMTOF2020が中止となりました。
本記事と同テーマで書いた最新の記事として「【2024年】切削加工業界の今を展示会の開催実績から徹底分析」を公開しています。
切削加工業界の今を展示会の開催実績から徹底分析
「【2021年】切削加工業界の今を知る:統計データ編」では、日本工作機械工業会および日本機械工具工業会のデータ、経済産業省の生産動態統計調査のデータを使って、定量的な分析をしています。
本記事では、切削加工業界の2つの展示会に関する分析を中心に、日経産業新聞や月刊生産財マーケティングなどの専門誌におけるメーカー・ユーザーへの取材記事から定性的な情報をまとめてみました。
JIMTOFとMECTの来場者推移
JIMTOFとMECTについて
切削加工業界の最新技術を入手できる展示会が、国内では2つあります。
1つが2年ごと偶数年に東京ビックサイトで開催される、JIMTOFです。
正式名称はJAPAN INTERNATIONAL MACHINE TOOL FAIR(日本国際工作機械見本市)で、10~11月に開催されています。
もう1つが2年ごと奇数年にポートメッセ名古屋で開催される、MECTです。
正式名称はMECHATRONICS TECHNOLOGY JAPANで、こちらも10~11月に開催されます。
2年に1回開催されるJIMTOFとMECTは切削加工業界が最も盛り上がる瞬間で、各メーカーはこの展示会にあわせて新製品を公開し、来場者はこの展示会で最新技術や製品を見て触って検討の材料にしています。
展示会の来場者推移
JIMTOFとMECTの来場者数の推移が下記のグラフです。
JIMTOFがMECTと比べて、来場者数が約1.5倍多いです。
こちらはJIMTOFが世界4大工作機械見本市という位置づけであること、東京であるためアクセスしやすいこと、開催期間が長いこと、出展社数が多いこと、海外の来場者が多いことなどが挙げられます。
リーマンショック以降に来場者が少し落ち込んでいますが、それが回復していたタイミングでのJIMTOF2020中止となりました。
JIMTOF2020の中止とオンライン開催
新型コロナウイルスの影響でJIMTOF2020が中止となり、2020年11月にJIMTOF2020 Onlineが開催されました。オンラインでの開催は初です。
世界9か国・地域から394社が出展し、アーカイブ期間を含めて13万2,000人(重複あり)が参加したと公表されています。
オンラインという性質を活かし、時間や距離の制約なく参加できることができたことを評価する一方で、出展社としては商談面ではリアル展同等の成果をあげることができなかったという声も多いです。
JIMTOF2020の中止が、切削工具ユーザー(工作機械で切削加工されている方)においては新たな製品との出会いを、出展メーカーにおいては売上向上を失ったといえます。
期待されるMECT2021とJIMTO2022
MECT2021
新型コロナウイルス発生以降、切削加工業界で最も大きなリアル開催の展示会として期待されているのがMECT2021です。
予測来場者数を80,000人としており、2019年の実績90,244人から1万人低いですが、ワクチン接種が進んでいるとはいえ、簡単に達成できる数値ではありません。
JIMTOF2020が中止になったため、出展社も来場者の期待値は高いことでしょう。
JIMTOF2022
JIMTOF2022(第31回日本国際工作機械見本市)は、直接スタッフと商談ができるリアル展示会と、JIMTOF2020 Onlineでの経験を活かしたオンライン開催の両面で実施が予定されています。
しかも、東京ビックサイトの南展示棟(2万平方メートル)を加え、大規模に開催されます。
世界的にワクチン接種が進んでおり、今まで通り海外からの来場者に溢れる展示会になることを期待しています。
工作機械業界の発展領域
JIMTOFとMECTの出展の目玉の1つである工作機械の最新トレンドについて、紹介いたします。
切削工具も新製品は毎年登場しますが、工作機械の方がより革新的な技術が登場しやすいため、そのトレンドは押さえておきたいですね。
各種媒体の情報より、下記に記載した対応がトレンドとなっています。
- 加工精度や速度、剛性などの単位あの性能的品質の向上
- ユーザビリティーの向上
- 工程の集約につながる機能や仕組み
- AIを活用した自動化
- 3次元積層造形技術
今後の工作機械の発展として、日本工作機械業界は2012年に「工作機械産業ビジョン2020」をまとめ、次の「工作機械産業ビジョン2030(仮称)」の策定を進めており、今から内容が気になります。
コロナ以降の切削加工業界の動向
回復をささえる中国
工作機械メーカーのインタビューでは、中国での需要が回復を支えていると回答されている方が多いです。
中国では幅広い業種で好況とされていて、特に電気自動車やスマートフォン関連業種の増産が続いているようです。
コロナ以降に伸びている業種
自動車関連需要は、外需を中心に回復が進むと期待されています。
電子産業向けでは、スマホなどの情報電子機器への需要が継続し、リモートワーク、ステイホームなどの新しい生活様式に対応する上でのPCや家電の売上が好調で、これらに関連する分野の需要が引き続き伸びると予想されています。
また、データセンターの増設、テレワークの普及や巣ごもり需要に関係するデバイス、次世代携帯端末の製造が追い風となり、半導体製造装置関連が好調で推移しています。
その他、感染症対策用の医療機器や次世代通信規格(5G)関連の通信設備への投資も堅調とされています。
切削加工業界の今を展示会の開催実績から徹底分析まとめ
- JIMTOFもMECTもリーマンショック以降に来場者が少し落ち込んでおり、それが回復していたタイミングでJIMTOF2020が中止となった
- JIMTOF2020が中止となり、世界9か国・地域から394社が出展してオンライン開催され、アーカイブ期間を含めて13万2,000人(重複あり)が参加したと公表されている
- MECT2021は予測来場者数を80,000人としており、2019年の実績90,244人から1万人低い数値となっている
- JIMTOF2022は東京ビックサイトの南展示棟(2万平方メートル)を加え、大規模に開催される
- 切削加工業界について、中国では幅広い業種で好況とされていて、特に電気自動車やスマートフォン関連業種の増産が続いている
- コロナ以降に伸びている業種について、自動車関連需要は外需を中心に回復が進むと期待されている
- 電子産業向けは、スマホなどの情報電子機器への需要が継続し、リモートワーク、ステイホームなどの新しい生活様式に対応する上でのPCや家電の売上が好調で、これらに関連する分野の需要が引き続き伸びると予想されている
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執筆者情報
本記事はタクミセンパイの服部が執筆・編集しました。
私は工具メーカーでの営業とマーケティングの経験を活かし、切削工具と切削加工業界に特化した専門サイト「タクミセンパイ」を2020年から運営しています。
私(服部)の実績や経歴については「運営について」に記載しています。
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