切削工具と切削加工業界の情報を発信するポータルサイト「タクミセンパイ」をご覧いただきありがとうございます。
当サイトを運営する編集長の服部です。
本記事では「2024年の切削加工業界(イベント実績)」について解説しています。
「今年度から切削加工業界で働き始めた方、あらためて切削加工業界の現状を知りたい方に向けて、切削加工業界の今がわかる」記事を目指して執筆しました。
【記事の信頼性】
本記事を書いた私(服部)は2014年から切削加工業界に携わり、2020年から「タクミセンパイ」を運営しています。
工具メーカーで営業として500社以上の切削工具ユーザー(工作機械で切削加工されている方)に訪問し、技術支援をさせていただきました。
また、マーケティングとして展示会とイベントの企画・運営、カタログとWEBサイトの大型リニューアルプロジェクト、ブランディングプロジェクトを経験しました。
営業とマーケティングの経験をもとに、切削加工業界で働く皆さまに向けて本記事を執筆しています。
切削加工業界の今を知る
本記事では切削加工業界の2大展示会である「JIMTOF」と「MECT」に関して、来場者数の推移や新型コロナウイルスの影響についてまとめています。
また、MECT2023で感じた参加者の関心、JIMTOF2022で見た切削工具の最新動向について紹介します。
JIMTOFとMECTについて
切削加工業界の最新情報を入手できる展示会としてJIMTOF(ジムトフ)とMECT(メクト)があります。
2年に1度開催されるJIMTOFとMECTの期間中は切削加工業界が最も盛り上がります。
工作機械や切削工具の各メーカーは、この展示会にあわせて新製品を公開しています。
来場する切削工具ユーザー(工作機械で切削加工されている方)と機械工具販売店は、この展示会で新製品の実物を見て、商談するのを楽しみにしています。
メーカー、機械工具販売店、切削工具ユーザーのいずれにおいても、JIMTOFとMECTは重要な展示会であるといえます。
JIMTOF(ジムトフ)について
2年ごと偶数年に東京ビックサイトで開催されるのがJIMTOF(ジムトフ)です。
正式名称は「JAPAN INTERNATIONAL MACHINE TOOL FAIR(日本国際工作機械見本市)」で、例年10~11月に開催されています。
JIMTOFについては2022年の記事として「【2022年】JIMTOFとは」「【2022年】JIMTOFの回り方」「JIMTOF2022レポート」を公開しています。
MECT(メクト)について
JIMTOFが開催されない奇数年にポートメッセ名古屋で開催されるのがMECT(メクト)です。
正式名称は「MECHATRONICS TECHNOLOGY JAPAN」で、こちらも例年10~11月に開催されています。
MECTについては2023年の記事として「【2023年】MECTとは」「【2023年】MECTの回り方」「MECT2023レポート」を公開しています。
JIMTOFとMECTの来場者推移
JIMTOFとMECTの来場者数の推移が下記のグラフです。
JIMTOFはMECTと比較して来場者数が約1.5倍多いです。
来場者が多い理由としては、JIMTOFが世界4大工作機械見本市という位置づけであること、会場が東京であるためアクセスしやすいこと、開催期間が長いこと、出展社数が多いこと、海外の来場者が多いことなどが挙げられます。
リーマンショック以降に来場者が少し落ち込み、以降徐々に回復していました。
2020年は新型コロナウイルスの影響で緊急事態宣言が発出され、JIMTOF2020が中止となりました。
新型コロナウイルス発生以降、MECT2021・JIMTOF2022・MECT2023が開催されています。
JIMTOFの来場者数と新型コロナウイルスの影響
JIMTOF2018とJIMTOF2022の来場者数合計(開催期間中の重複なし)および海外来場者数合計(開催期間中の重複なし)を比較してみました。
JIMTOF2018 来場者数 | JIMTOF2022 来場者数 | |
全来場者数 | 153,103人 | 114,158人 |
海外からの来場者数 | 12,934人 | 4,686人 |
新型コロナウイルスの影響を受けていないJIMTOF2018の来場者数合計は153,103人で、2022年は2018年から来場者数が25.4%減った114,158人でした。
機械工具販売店が企画するJIMTOF向けバスツアーの実施も2018年と比較して少なかったようで、国内来場者数に影響していると考えられます。
海外からの来場者も4,686人となり、前回から63.7%減少しています。
下記は2022年1月1日(土)~11月13日(日)の全国と東京の新型コロナウイルスの感染者状況をグラフにしたものです。
JIMTOF2022開幕前日の2022年11月7日(月)の新型コロナウイルス感染者数は全国が31,728名、東京が3,507名でした。
11月に入って全国および東京の感染者数は増加傾向にあり、第8波の可能性があると分析されていました。
ただ、行動の制限もなく、感染者数の報道もピーク時と比較して落ち着いていたため、特に気にすることなく参加された方が多いと考えられます。
JIMTOF2024において新型コロナウイルスの影響はほとんどないと考えられ、国内だけでなく海外来場者の回復により、来場者数が2018年規模に戻ることが期待できます。
MECTの来場者数と新型コロナウイルスの影響
MECT2019とMECT2021、MECT2023の来場者数合計(開催期間中の重複なし)を比較してみました。
MECT2019 来場者数 | MECT2021 来場者数 | MECT2023 来場者数 | |
全来場者数 | 90,244人 | 68,929人 | 77,225人 |
新型コロナウイルスの影響を受けていないMECT2019の来場者数合計は90,244人で、2021年は2019年から来場者数が23.6%減った68,929人でした。
2023年は回復したものの、2019年から来場者数が14.4%減った77,225人でした。
会期中の新型コロナウイルスの影響について、会場でマスクをしている人(出展者・来場者)は1割程度であり、コロナ前とほとんど変わらない環境で開催されました。
来場者数の減少について、工作機械受注が9ヶ月連続前年を下回っていたことなどから、不況の影響でコスト削減として展示会の参加が難しくなったなどもあるのではと予想しました。
MECT2023とJIMTOF2022で見た切削加工業界の今
MECT2023で感じた参加者の関心、JIMTOF2022で見た切削工具の最新動向について紹介します。
交流を求める声
MECT2023会期中のX(旧Twitter)は非常に盛り上がり、「出展者(Xの中の人)に会うため」「Xでつながった来場者同士で交流するため」といった目的で参加されている方を複数確認しています。
自動車産業が急速なEV化により100年に1度の変革期をむかえており、切削加工業界の企業は変化に対応するために行動を開始しています。
変化に対応するための1つの手段として、XなどSNSを通じて同業者がつながる機会が増えていると感じます。
切削工具のトレンド
切削工具に関しては下記の2つのテーマがJIMTOF2022で印象的でした。
- EV化に向けた切削工具メーカーの取り組みが加速
- 切削工具の新技術(センシングツールと金属3D積層造形)
JIMTOF2024についてもこれらの動きを重点的に取材したいと考えています。
EV化に向けた切削工具メーカーの取り組みが加速
JIMTOF2022では切削工具メーカー各社がEVを意識した製品・ソリューションを展示していました。
EVで需要が増すアルミについて、半導体に対する提案も多く確認できました。
JIMTOF2022取材記事として下記を公開しています。
切削工具の新技術(センシングツールと金属3D積層造形)
JIMTOF2022では、切削工具メーカー各社が新技術としてセンシングツール(センサ工具)と金属3D積層造形(Additive Manufacturing , アディティブマニュファクチャリング)を活用した切削工具を展示していました。
JIMTOF2022取材記事として下記を公開しています。
2024年最大規模の展示会JIMTOF2024
2024年最大の切削加工業界の展示会としてJIMTOF2024が開催されます。
名称 | JIMTOF2024 JAPAN INTERNATIONAL MACHINE TOOL FAIR (第32回 日本国際工作機械見本市) |
会期 | 2024年11月5日(火)〜10日(日) 9:00~17:00(最終日は16:00まで) |
会場 | 東京ビッグサイト(東京国際展示場) 全館 |
予測来場者数(目標来場者数)は記事公開時には公開されていませんでした。
国内だけでなく海外からの来場者も戻り、新型コロナウイルス前の来場者数に戻るのか気になるところです。
参加される方は「JIMTOF2024情報まとめ」「【2022年】JIMTOFとは」「【2022年】JIMTOFの回り方」の記事をご活用ください。(適宜最新の記事を公開していきます)
また、出展社の方は「【2024年】JIMTOF来場者分析と出展ガイド」をご活用ください。
まとめ
- リーマンショック以降に来場者が少し落ち込み、以降徐々に回復していた
- 2020年は新型コロナウイルスの影響で緊急事態宣言が発出され、JIMTOF2020が中止となった
- 新型コロナウイルスの影響を受けていないJIMTOF2018の来場者数合計は153,103人で、2022年は前回から来場者数が25.4%減った114,158人だった
- 新型コロナウイルスの影響を受けていないMECT2019の来場者数合計は90,244人で、2023年は回復したものの、2019年から来場者数が14.4%減った77,225人だった
- MECT2023で感じた参加者の関心として、交流を求める声が多かった
- 切削工具について、「EV化に向けた切削工具メーカーの取り組みが加速」と「切削工具の新技術(センシングツールと金属3D積層造形)」をJIMTOF2022の会場で確認できた
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