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切削加工業界で働く人を増やすためにジャパンモビリティショーから学べること

切削工具と切削加工業界の情報を発信するポータルサイト「タクミセンパイ」をご覧いただきありがとうございます。
当サイトを運営する編集長の服部です。

本記事では「切削加工業界で働く人を増やすために、ジャパンモビリティショー2023(JAPAN MOBILITY SHOW 2023 , JMS2023)に参加して学んだこと」についてまとめています。
また「ジャパンモビリティショー2023は子供の参加にも力を入れており、子連れ目線で感じたことをまとめ、中学生や高校生に対して切削加工業界に興味をもってもらうためにできること」について考えてみました。

【記事の信頼性】
本記事を書いた私(服部)は2014年から切削加工業界に携わり、2020年から「タクミセンパイ」を運営しています。

工具メーカーで営業として500社以上の切削工具ユーザー(工作機械で切削加工されている方)に訪問し、技術支援をさせていただきました。
また、マーケティングとして展示会とイベントの企画・運営、カタログとWEBサイトの大型リニューアルプロジェクト、ブランディングプロジェクトを経験しました。

営業とマーケティングの経験をもとに、切削加工業界で働く皆さまに向けて本記事を執筆しています。

JIMTOF2024連動企画 JIMTOF2024連動企画

はじめに

労働力調査(第12・13回改定日本標準産業分類別就業者数)のデータより、国内の製造業就業者数は2002年の1,202万人から2022年には1,044万人と、20年間で13.1%減少しています。
全産業に占める製造業就業者の割合も2002年の19.0%から2022年の15.5%に減少しています。

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労働力調査(第12・13回改定日本標準産業分類別就業者数)より作成


つまり、仕事としてものづくりに興味を持ち、製造業で働く人が減っていることになります。

2021年のデータで、全製造業の製造品出荷額等に占める自動車製造業の割合は17.1%と最も多くなっています。
そして、自動車産業には550万人、モビリティ産業では850万人の人が働いています。

製造業で最も大きな市場を持つ自動車業界においても人材獲得に苦労しています。

そして、切削加工業界は自動車業界以上に人材獲得に苦戦しています。
自動車はtoC(個人)とtoB(商用)向けですが、切削加工業界はtoB向けの製品・サービスであり、toCと比較して人材獲得のハードルは高いです。

切削加工業界の年齢分布を確認するために、国勢調査の「金属工作機械作業従事者」を使用しました。
(*工作機械の作業に従事している人のみの数値であるため、切削加工業界に携わるすべての人ではありません。)

令和2年(2020年)国勢調査より、職業(小分類)の「金属工作機械作業従事者」の数を年齢別にまとめたグラフが下記です。

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令和2年国勢調査より作成


2020年時点で15~24歳のZ世代は11,600人しかいません。

切削加工業界に優秀な若い人材が増え、切削加工業界が人材面においても持続可能なビジネスになるためのヒントになればと思いこの記事を執筆しました。

切削加工業界に関連する企業(特に大手)、展示会主催者(JIMTOFとMECT)、団体にこの情報が届くと嬉しいです。

ジャパンモビリティショーについて

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名称JAPAN MOBILITY SHOW 2023(略称JMB2023)
主催一般社団法人 日本自動車工業会
共催一般社団法人 日本自動車部品工業会(JAPIA)
一般社団法人 日本自動車車体工業会(JABIA)
一般社団法人 日本自動車機械器具工業会(JAMTA)
一般社団法人 日本自動車販売協会連合会(JADA)
日本自動車輸入組合(JAIA)
会期2023年10月26日(木)~11月5日(日)
(10月25日(水)はプレスデー)
プレスデー10月25日(水) 8時~18時
10月26日(木) 8時~13時
オフィシャルデー10月26日(木) 13時30分~18時
特別招待日10月27日(金) 9時~18時
*障がい者手帳をお持ちの方の特別見学日
プレビューデー10月27日(金) 12時30分~18時
一般公開日2023年10月26日(木)~11月5日(日)
*月~土、祝は9時~19時
*日は9時~18時
*9~10時はアーリーエントリーのみ入場可

ジャパンモビリティショー2023は、自動車関連企業に加え、様々な業種の企業や100社を超えるスタートアップが集まり、出展者数は過去最高の475社となりました。
ジャパンモビリティショーとしての開催は今年が初めてです。

ジャパンモビリティショーの前身である東京モーターショーは1954年に開かれた「全日本自動車ショウ」からスタートしました。
東京モーターショーは、北米国際オートショー(アメリカ)、ジュネーブモーターショー(スイス)、パリモーターショー(フランス)、フランクフルト(ドイツ)と並ぶ世界5大モーターショーに位置付けられています。

ジャパンモビリティショー2023のテーマは「乗りたい未来を、探しに行こう!」として、自動車業界だけでなく様々なモビリティ企業も出展し、来場者に「未来の日本」を体感してもらう場として開催されました。
また、ショーのコンセプトとして「みんなで一緒に未来を考える場」を掲げ、モビリティ産業と他産業やスタートアップが一緒になり、来場者と双方向で未来を考える場を目指しました。

4年前に開催された第49回 東京モーターショー2019には192社が出展し、来場者は130万人でした。
2019年は東京オリンピック・パラリンピックの関係で東京ビックサイト 東館が使用できず、青梅エリアから有明エリアまで利用し、過去最大規模の面積で開催されました。

ジャパンモビリティショー2023の主催者プログラムとしては、人気アーティストや芸人が登場するフェス(有料)や子供向けイベントなど下記が用意され、全年齢に向けたコンテンツが提供されました。

  • Tokyo Future Tour
  • Startup Future Factory
  • Japan Future Session
  • H2 Energy Festival 
  • Japan Meat Show
  • モータースポーツ
  • 試乗プログラム


さらに、イベントとして下記が実施され、会場を盛り上げました。

  • トミカコーナー
  • 軽トラ市 in ジャパンモビリティショー2023
  • CampingCar Area by JRVA
  • Tokyo Auto Salon
  • Tokyo Super Car Day 2023 in JMS
  • 学生フォーミュラ日本大会2023


開催概要から学べること

ジャパンモビリティショーと切削加工業界最大の展示会であるJIMTOFの開催概要を比較することで、「切削加工業界で働く人を増やす」ために学べることがないかを考えてみました。

ジャパンモビリティショーとJIMTOFには、東京ビックサイト全館を使用する数少ない大規模展示会という共通点があります。
また、ジャパンモビリティショーとJIMTOは、新型コロナウイルスの影響で4年ぶりのリアル開催となりました。

下記にジャパンモビリティショー2023とJIMTOF2022の開催概要をまとめました。

ジャパンモビリティショー
(2023年)
JIMTOF
(2022年)
開催規模東京ビッグサイト全館東京ビッグサイト全館
開催期間12日間(プレスデー含む)6日間
来場者数1,112,000人114,158名(重複なし)
入場料金当日券:3,000円
アフター4:1,500円
アーリーエントリー:3,500円
高校生以下:無料
前売り券:1,000円
当日券:3,000円
学生:無料
主催一般社団法人 日本自動車工業会一般社団法人 日本工作機械工業会
株式会社 東京ビッグサイト
共催/協賛<共催>
(一社)日本自動車部品工業会
(一社)日本自動車車体工業会
(一社)日本自動車機械器具工業会
(一社)日本自動車販売協会連合会
日本自動車輸入組合
<協賛>
日本工作機械輸入協会
(一社)日本鍛圧機械工業会
日本精密機械工業会
(一社)日本機械工具工業会
(一社)日本工作機器工業会
日本精密測定機器工業会
研削砥石工業会
ダイヤモンド工業協会
日本光学測定機工業会
(一社)日本フルードパワー工業会
(一社)日本試験機工業会
(一社)日本歯車工業会

東京ビックサイト全館を利用した開催規模は同じですが、ジャパンモビリティショーはJIMTOFと比較して開催期間は2倍の12日間、来場者数は9.7倍の111万人です。

ジャパンモビリティショーはtoCとtoBに向けた展示会ですが、JIMTOFはtoB向け製品・サービスの展示会です。
toCもターゲットになるジャパンモビリティショーは土日祝日に参加する人も多く、来場者数が圧倒的に多いです。

主催について

ジャパンモビリティショーの主催は「一般社団法人 日本自動車工業会」、JIMTOFの主催は「一般社団法人 日本工作機械工業会」です。

日本自動車工業会は自動車産業全体をカバーした団体ですが、日本工作機械工業会はあくまで工作機械関連の団体です。

日本工作機械工業会の他に、日本機械工具工業会(切削工具の団体)や全日本機械工具商連合会(機械工具販売店の団体)が存在しますが、切削加工業界全体を対象とした団体がなく、切削加工をされている部品加工業が多く参加する団体もありません
JIMTOFの企画に切削加工業界全体の声がどこまで届いているか、業界全体の課題に対して関連する企業が同じ方向を向けているかは不明です。

切削加工業界で働く人を増やすために、業界全体で一緒に考えることができる団体や場があってもいいのではと考えます。

入場方法について

ジャパンモビリティショーには、複数の入場方法があります。

早く会場に入って目当ての展示を見たりイベントに参加したい人は、アーリーエントリーという選択肢があります。
通常より500円入場料が高く設定されていますが、1時間早く入場することができます。

JIMTOFはtoB向け製品・サービスの展示会であるため、通常より高い金額を払って早く会場に入りたい人は少ないと考えられ、アーリーエントリーの導入は必要ないと考えます。

入場料金について

入場料はいずれも当日券3,000円ですが、JIMTOFは前売り券であれば1,000円です。

JIMTOF2022レポート」でも書きましたが、JIMTOFを通じて切削加工業界を盛り上げるために、入場料の無料化を検討してはどうかと考えました。
JIMTOFは学生誘致に対して積極的に取り組んでいますが、学生だけでなく入社したあとの若手社員の成長についても力を入れるべきだと考えます。

入社間もない新人に無料で参加できる招待状は回ってきにくく、1,000円の前売り券や3,000円の当日券の入場料に躊躇し、参加を見送ってしまうのは業界としてあるべきではないと考えます。
Xの投稿でも入場料に関する不満を確認しており、切削加工業界に入ってから働き続けてもらうために若手社員のサポートが必要です。

ただし、無料化するとコンパニオン目当ての人が参加するなど、JIMTOFに業務目的で参加される方に迷惑になるという意見もあると思います。
つまり、有料であることで質の高い業界人だけのJIMTOFが成立していることも重要であるということです。

となると、入場料無料化ではなく、JIMTOFに参加したい業界関係者にしっかりと招待状が行き届く仕組みを採用する方がいいかもしれません。
また、年々土曜日・日曜日の参加者数が減っているため、土曜日・日曜日の入場料を無料に設定し、プライベートで若手社員が参加しやすいように設定してもいいかもしれません。

業界の意欲ある全ての人がJIMTOFに参加できる環境を、主催者に提供してほしいと考えます。

会場から学べること

JIMTOFとジャパンモビリティショーの開催概要だけではわからない会場の様子を比較することで、「切削加工業界で働く人を増やす」ために学べることがないかを考えてみました。

会場内の撮影

ジャパンモビリティショー2023は、来場者に発信してほしいという雰囲気がありました。

幅広い世代に向けたコンテンツが用意されていることで、興味を持って発信される情報も様々な分野があります。
ジャパンモビリティショー2023にて展示・実演されたツバメインダストリ株式会社の搭乗型ロボット「THE ARCHAX(アーカックス)」の周りは人だかりができて、撮影する人が大勢いました。
人が搭乗して動くところを生で見ましたが、ロボットアニメの世界のようで未来を感じ、記憶に残る展示の1つでした。

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ロボットが好きだからものづくり業界で働きたいとはならないと思いますが、「THE ARCHAX」を見るだけでもイベントに参加する価値があり、生で見ることでものづくりに興味をもつキッカケになりそうだと感じました。

JIMTOFやMECTにエンタメ性を加え、展示会の盛り上げや発信につなげるために、主催者はツバメインダストリ株式会社に声をかけてみてはいかがでしょうか。

ジャパンモビリティショー2023ではプレスデーが一般公開日前に用意されており、発信に力を入れていることがわかります。
プレスデーに参加しているのはTVや新聞、業界メディアに限らず、YoutubeなどSNSで活躍するインフルエンサーも含まれています。
車はそんなに興味はないが、好きなインフルエンサーがオススメしているなら参加してみようと思うのがZ世代であり、広い層に向けて情報が発信されています。

再生数を求めるインフルエンサーは情報発信の鮮度を重視し、当日や翌日には動画が公開されています。
来場者としても、事前に動画で確認して見学することができるため、参考になります。

JIMTOFとMECTはtoB向け製品・サービスの展示会であるため、一般参加者は撮影不可の新製品や参考出展製品も多いです。

JIMTOF2022レポート」でも触れましたが、切削加工業界におけるSNS(特にX)の盛り上がりを受け、主催者としては会場内での一般来場者の写真撮影ルールを再検討してみてはどうかと提案します。
JIMTOF2022の各入口には会場内撮影禁止の看板が設置されていました。

来場者としては撮影できることで効率的に視察記録ができますし、出展社は情報の拡散に期待できます。
情報が発信されないと、学生に知ってもらう機会も少なく、ものづくりに興味を持つ機会も増えません

もちろん撮影不可の参考展示品などもあるため、それらを個別に撮影不可とわかるように掲示・展示すればよいのではないかと考えます。

切削加工業界のZ世代戦略」で触れていますが、Z世代(1996~2010年生まれ)はスマホネイティブであり、メモ代わりにスマホのカメラを利用します。
展示している製品が撮影できなければ記録せず(会社で報告せず)、撮影ができる他のメーカーを見ると判断するのがZ世代です。

文化や考え方が異なる広い世代の来場者をJIMTOFとMECTに呼ぶために、会場内での写真撮影ルールについて再検討してほしいと考えます。

コンパニオンの活躍

ジャパンモビリティショー2023では、東京モーターショー時代から続く文化として、たくさんのコンパニオンが参加していました。
ただ、ショーとして子供向けのコンテンツにも力を入れていること、昨今の時代の流れを受けて、露出を抑えた衣装が多かった印象です。

ジャパンモビリティショー2023には、コンパニオンを目的に参加する方を一定数確認しています。
展示会の参加者を増やすためにコンパニオンに力を入れることも1つの選択肢ではあると思いますが、昨今の時代の流れでJIMTOFとMECTがこのタイミングで取り組む必要はないと考えます。

ジャパンモビリティショー2023の子供向け取り組み

私はジャパンモビリティショー2023に4歳と2歳(ベビーカー利用)の息子と一緒に参加しました。
ジャパンモビリティショー2023は子供の参加にも力を入れており、子連れ目線で感じたことをまとめています。

提供されたコンテンツは、子供の中でも「小学生」をターゲットにしていると感じました。
これは予測ですが、自動車業界として中学生や高校生に対しては既に何かしらアプローチする手段を持っており、まだ接点が少ない小学生に力を入れているのではと予想しました。

Out of KidZania in JMS 2023

人気こども向け職業体験施設「キッザニア」とコラボレーションし、ジャパンモビリティショー2023の会場に「こども達が働く街」が用意されました。
前回の東京モーターショー2019でキッザニアと初コラボを実施しており、大好評だったこともあり今年も開催されました。

「小学1年生~6年生向け体験プログラム」は有料(平日500円、土日祝日1,000円)で、事前予約制で開催されました。
「3才以上の未就学児(年少・年中・年長児)向け体験プログラム」は無料で、当日整理券が配布されて開催されました。

カーモデラ―やメカニックなど、車に携わる様々な職業体験が提供されました。
車に携わる職業の体験プログラムを下記にピックアップしました。

公式サイトの情報より「Out of KidZania in JMS 2023」の参加者数は13,000人以上と報告されています。

小学1年生~6年生向け体験プログラム

企業名体験内容
三菱自動車工業カーモデラ―の仕事
クルマのデザイン画を、クレイ(粘土)を使って立体で忠実に再現します。
マツダ砂型鋳造職人の仕事
「走る歓び」を実現するために大切な部品であるエンジンなどを製造する鋳造職人の見習いとして、鋳込みのトレーニング(砂を押し固めて型づくり、金属の流し込み見学、仕上げ)をします。
ダイハツ工業エンジンを組立てる仕事
「安全の心構え」を学んだ後、エンジン部品を装着し、異常がないかを確認します。
トヨタ自動車燃料電池自動車エンジニアの仕事
CO2を排出しない燃料電池車の仕組みを理解し、燃料電池模型に水素を充填して走らせる研究をします。
トヨタ自動車1台目のクルマをつくる板金技術者の仕事
匠の技術を学び、ハンマーを使って試作車のパーツを作ります。
本田技研工業商品の研究開発の仕事
最先端のバーチャルゴーグルを付けて雪国で除雪機の運転をゲーム体験します。たくさんの雪で困っている人を助けるために新しい機能を考えます。
日産自動車スーパーカーをつくる技術者”たくみ”の仕事
世界でもトップクラスの技術者「匠」を目指す候補生として、スーパーカーづくりに欠かせない繊細な職人技術に挑戦します。
SUBARUレーシングメカニックの仕事
カーレースで順位を左右するメカニックとして、タイヤ交換やライト点検などの作業を安全に気を付けながら正確に素早く行います。
スズキ新しいモビリティのプロデューサーの仕事
専用アプリを使って未来の乗り物の色や乗る人・背景などを選び、世界に1台のモビリティを作ります。
一般社団法人
日本自動車販売
協会連合会
カーディーラーの自動車整備士の仕事
お客さまからお預かりした大切なクルマの、タイヤの交換や車両点検を行います。


マツダの「砂型鋳造職人の仕事」を体験している様子です。
作業着を着て、かなり本格的な体験ができます。

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マツダはキッザニアに参加する企業で最も現場をリアルに再現したブースを提供していました。
リアルな職場が小学生にどのように響くかわかりませんが、大人としては企業の本気度を感じることができました。

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ダイハツ工業の「エンジンを組立てる仕事」を体験している様子です。
こちらも作業着を着て体験することができます。

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ダイハツ工業のブースは写真で現場感を再現していました。

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ダイハツ工業のブース内には子供を意識したフォントを使用し、漢字にルビが振られた標識(安全の合言葉)が掲示されていました。
ものづくりにおける安全の重要性がしっかり発信されています。

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トヨタ自動車の「1台目のクルマをつくる板金技術者の仕事」を体験している様子です。
作業着を着て、かなり本格的な体験ができます。

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トヨタ自動車のブースはこだわりを感じました。

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トヨタ自動車の標識は、実際に現場で掲示されているものが使用されており、リアルでした。
ものづくりにおける安全の重要性が発信されています。

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SUBARUの「レーシングメカニックの仕事」のブースです。

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3才以上の未就学児(年少・年中・年長児)向け体験プログラム

企業名体験内容
マツダプレス体験
プレス工場をイメージしたブースで、自分だけのお気に入り缶バッジを制作します。
ダイハツ工業デザインスケッチ体験
トヨタ自動車タイヤ交換体験
十字レンチや電動インパクトレンチを使ってタイヤのナットの取り外し・取り付け作業を行います。
カーモデラ―協会実際のデザイン開発でつくられた1/1サイズのクレイモデルを削る「クレイモデラー」体験。

マツダの「プレス体験(缶バッチ製作)」の様子です。
安全ベストを着用し、点呼(名前を呼んで返事をする)から体験がスタートします。

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マツダの「プレス体験(缶バッチ製作)」について、プレス加工機の本物を会場に用意できないため、ミニチュアと比較用のキリンの模型でサイズ感が説明されました。
また、プレスの力の強さをゾウ何頭分という単位でクイズが実施されました。

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マツダの「プレス体験(缶バッチ製作)」は、缶バッチメーカーでプレスのイメージを体験します。

対応いただいた社員の皆さまの笑顔、楽しんでいる姿が素晴らしく、子供が車メーカーで働きたいと言ったらマツダで働いて欲しいと思うほど、ホスピタリティのレベルが高く感動しました。

子供に好きになってもらうだけでなく、大人にも好きになってもらうことが企業においていかに重要であるかを学びました。

子供にもわかるような表現を使ったものづくりの説明、リアルな仕事体験といえるような点呼といった演出、もちろんキッザニアのサポートはあると思いますが、社員の皆さまの事前の準備や練習がないとこのクオリティは実現できないと思います。


壁にはおそらく本物のプレス部品が展示され、近くには道具箱や送風機、溶接機器など現場をリアルに表現するための備品が置かれていました。

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カーモデラ―協会のクレイモデルを削る「クレイモデラー」体験の様子です。
大人であっても見たことや触ったことがないクレイモデルを、自由に削ることができます。

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小学生特別見学会

ジャパンモビリティショー2023では会期中の10月30日(月)~11月2日(木)に、事前応募制で小学校を対象とした特別見学会が実施されました。

新エネルギー・環境問題などの社会問題に対する取り組みについて自動車産業を通じて学んでもらい、日本の産業界の力を結集した「未来のモビリティ社会」を体験してもらうといった目的が紹介されていました。

詳しい情報が公開されておらず、実施内容は不明ですが、おそらく優先的に会場内を見学できるような内容が提供されたと予想します。

入場方法の工夫

ジャパンモビリティショー2023の入場方法について、東京ビックサイト メインエントランス(2F)に並ぼうとしたところ、ベビーカーを利用している方向けの専用入り口が西展示棟アトリウム(1F)にあるとスタッフから案内いただきました。

専用の入り口はベビーカー利用者の他、車いすを利用されている方、身体障害者の方専用として案内されていました。
子連れの多くがキッザニアやトミカを目的として南展示棟に行くため、メインエントランス(2F)から入ると必ずエレベーターを使って一度1階に降りる必要があり、この入場方法は非常に親切であると感じました。

ベビーカーも車いすもモビリティの1つとも言えますし、ショーとして子供向けに力を入れていること、会場内の混雑を避ける上で素晴らしい対応であると思いました。
また、ベビーカーを見たスタッフが専用入り口を案内するなど、対応力についても徹底されており、子連れでも安心して参加することができました。

ただ、東京ビックサイトのエレベーターの数はやはり少ないので、会場内の移動はエレベーターを長時間待たなければならない課題があります。

乳児・幼児サービス施設の用意

子供連れの来場者向けに、授乳やオムツ交換ができる施設が南展示棟とアトリウムに用意されました。

東京ビックサイトの既存設備では授乳やオムツ交換ができるスペースが少ないため、小さい子供を連れた参加者には嬉しい対応でした。

切削加工業界に興味をもってもらうためにできること

ジャパンモビリティショー2023の子供向け取り組みから、「切削加工業界で働く人を増やす」ために学べることがないかを考えてみました。

子供といっても小学生、中学生、高校生のどの層をターゲットにするかによってコンテンツは変わります。
ジャパンモビリティショー2023では、モビリティを将来利用する顧客という視点も入り、長期的な目線で小学生へのアプローチに力を入れていると感じました。
切削加工業界においては、働く人をいち早く獲得しなければならないという課題があるため、中学生や高校生に対して切削加工業界に興味をもってもらうための取り組みが重要であると考えます。

JIMTOF2022では、学生向け企画として「学生のためのものづくり業界紹介セミナー」が開催されました。
「工作機械・業界・ものづくり総論」や「工作機械トップセミナー」の他、講演として「切削工具で未来を切り拓く」「工作機器業界の紹介と機械要素企業の面白さ」「精密測定技術の最新動向 高い信頼性と高品質を生み出す最新のモノづくり」が提供されています。

JIMTOF2024では学生と製造業で働く現役世代の交流の場を創出するために、「アカデミックエリア(仮称)」が南展示棟に用意されると報告されています。
前回に続き「工作機械業界トップセミナー」や「ものづくり業界紹介セミナー」の他、学生を対象とした各種イベント、セミナーも実施すると予告されています。
単なる人材確保だけではなく、工作機械業界やものづくり全体への関心の向上を目指すと説明されています。

JIMTOF2024で予定される「アカデミックエリア(仮称)」にかなり期待しています。
ただ、これまでのような講演形式の一方的な発信ではなく、ジャパンモビリティショー2023のように会場内でものづくりに直接触れることができる、具体的な仕事を体験できるようなコンテンツに力を入れて欲しいと考えます。

ただし、体験を提供する場合は、中学生や高校生は小学生以上にシビアな評価をするため、クオリティが重要になります。
ジャパンモビリティショー2023のキッザニアのように、体験内容やスタッフの対応方法については主催者のサポートが必要であると考えます。

JIMTOFとMECTについて、会場内で学生が遠慮することなく見学できる時間帯を設けてあげて欲しいと考えます。
学生としてはたくさんの大人がブースにいる中で出展者に質問することはハードルが高く、出展者もできれば売上につながる顧客との商談に時間を使いたいと考えてしまいます。
例えば会期初日の午前中に「プレスデー&学生見学タイム」を設定したり、来場者数が減る土曜日に「学生見学タイム」を設定することを提案します。

編集長コメント

「切削加工業界で働く人を増やすためにジャパンモビリティショーから学べること」いかがでしたか。

本気で切削加工業界を変えていきたいと考えています。
優秀な若い人材が増え、切削加工業界が人材面においても持続可能なビジネスにならないか、ジャパンモビリティショー2023に参加して得た情報と私の考えをまとめてみました。

切削加工業界に関連する企業(特に大手)、展示会主催者(JIMTOFとMECT)、団体にこの情報が届き、新たな取り組みが始まることを期待しています。
タクミセンパイとしても独自にできることに取り組みますし、何か力になれることがあればお問い合わせやご相談いただきたいです。

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