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【採用担当者も必見】切削加工業界のZ世代戦略

ブログをご覧いただきましてありがとうございます。
「切削工具の情報サイト タクミセンパイ」を運営する、編集長の服部です。

本記事では「切削加工業界のZ世代戦略」について紹介しています。
マーケティング・営業部門だけでなく、経営や企業の採用活動においてもヒントとなる情報」をお伝えします。

【記事の信頼性】
本記事を書いた私は、2014年から切削加工業界に携わり、2020年から「切削工具の情報サイト タクミセンパイ」を運営しています。

工具メーカーで営業として500社以上の切削加工ユーザーに訪問し、技術支援をさせていただきました。
また、マーケティングとして展示会とイベントの企画・運営、カタログとWEBサイトの大型リニューアルプロジェクト、ブランディングプロジェクトを経験しました。

営業とマーケティングの経験をもとに、切削加工業界で働く皆さまに向けて本記事を執筆しています。

切削工具フェス2023 切削工具フェス2023

Z世代とは

2021年の流行語にもなった「Z世代」という特定の世代を表す言葉。

Z世代を含む3つの世代は下記のように分類することができます。
(各世代の定義は媒体によって少し異なります)

X世代1965~1976年生まれ
(2023年時点で47~58歳)
Y世代1977~1995年生まれ
(2023年時点で28~46歳)
Z世代1996~2010年生まれ
(2023年時点で13~27歳)

Y世代はミレニアム世代とも言われます。
参考に1946~1964年をベビーブーマー世代、2021~2023年をα世代と呼びます。

日本の世代別人口を確認するために、総務省統計局が2021年に実施した人口推計のうち、日本人人口についてまとめてみました。
(2021年10月1日時点の年齢で世代を分類)

日本人人口
X世代
1965~1976年生まれ
2,168万人
Y世代
1977~1995年生まれ
2,600万人
Z世代
1996~2010年生まれ
1,683万人


日本人全人口1.2億人の各世代の割合を表したグラフが下記です。

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人口推計(2021年)より作成


日本のZ世代は14%しかいません。
他の世代と比較して少ないため、日本におけるZ世代に対する戦略は遅れています

一方で世界のZ世代の割合は日本と異なります。

国連統計のデータより、2019年時点で世界の全人口77億人の32%がZ世代であり、Y世代の31.5%を上回ると分析されました。
(その他世代にはX世代、ベビーブーマー世代、α世代が含まれます)

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国連統計(2019年)より作成


そのため、世界的にはZ世代を重視した戦略が進んでいます

日本国内はZ世代が少ないですが、海外展開に力を入れる企業であればZ世代を意識しなければなりません。
海外の現地子会社、現地代理店、顧客においてはZ世代が多いという地域もあるため、Z世代に対して適切な戦略が実施されていないと、遅れた企業と認識されるリスクがあります。

切削加工業界のZ世代

Petropavlovsk,,Kazakhstan,-,May,11,,2012:,Heavy,Engineering,Plant.,Operator


切削加工業界の世代別の人数を確認するために、国勢調査の「金属工作機械作業従事者」の人数を使用しました。
「工作機械の作業に従事している人」のみの数値であるため、切削加工業界に携わるすべての人ではありません。

令和2年(2020年)国勢調査より、職業(小分類)の「金属工作機械作業従事者」の数を年齢別にまとめたグラフが下記です。

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令和2年国勢調査より作成


X世代とY世代が本記事の世代定義と少し異なりますが、「金属工作機械作業従事者」を世代別に分けた結果が下記となります。

金属工作機械作業従事者
X世代
(2020年時点で45~54歳)
34,560人
Y世代
(2020年時点で25~44歳)
61,660人
Z世代
2020年時点で15~24歳)
11,600人

金属工作機械作業従事者は、Y世代が圧倒的に多いです。
Z世代はY世代と比較して1/5もいません

金属工作機械作業従事者の人数より、切削加工業界にZ世代が少ないことが予測できますが、これから購買におけるメイン顧客層になっていきます。

Z世代を対象とした際に、X世代やY世代に向けた戦略では上手くいかない可能性が高いです。
そのため、Z世代を理解する上で重要な5つのポイントをお伝えします。

Z世代に向けた戦略

Z世代を理解する上で重要なポイントを5つにまとめました。

  • WEBでの情報収集を重視
  • スマホに最適化されたサイトが必須
  • パーソナライズされた情報を求める
  • 購入前の厳しい品質チェック
  • 社会課題への取り組みを重視


もちろんZ世代に限らず、X世代とY世代においても重要なポイントであるため、今から取り組んでおくべきだと考えます。

WEBでの情報収集を重視

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Z世代はWEBでの情報収集を特に重視し、検索エンジンの利用だけでなく、YoutubeやTwitterなどのSNSでも検索します。

WEBで提供されているデータに対する信頼度は世代によって変わります。

新聞通信調査会が実施した「第15回メディアに関する全国世論調査(調査期間:2022年8月26日~9月13日)」において、新聞とインターネットに対して「情報が信頼できる」と回答した人の割合を年齢別まとめたグラフが下記です。

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第15回メディアに関する全国世論調査(2022年)より作成


各メディアの情報をどの程度信頼しているか、全面的に信頼している場合は 100 点、全く信頼をしていない場合は 0点、普通の場合は 50 点として点数がつけられています。
年齢の高い人は新聞を、年齢の低い人はインターネットの情報を信頼していることがわかります。

また、「第15回 メディアに関する全国世論調査(調査期間:2022年8月26日~9月13日)」のデータより、「新聞や新聞記事を読む人」の割合を年齢別にまとめたグラフが下記です。

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第15回メディアに関する全国世論調査(2022年)より作成


20代で「新聞や新聞記事を読む人」は28.9%で、40代(57.5%)と比較すると半分しかいません。
製品の購入を検討するZ世代に情報を届けるという媒体において、業界新聞は効果が低いと考えられます。

つまり、新聞でしか情報発信していない内容はZ世代に届いていないと認識したほうがいいかもしれません。
そのため、Z世代に情報を届けるためには、企業サイトやSNSなどWEBでの発信も重要です。

ただし、製品の購入を検討する層がZ世代であっても、購入を承認するポジションがX世代やY世代である現状において、新聞の価値が低いとは言い切れません
やはりX世代やY世代に認知されている製品やサービスは、購入の承認が取りやすいはずです。


切削加工業界でもYoutubeやTwitterなどのSNSが活用されています。
切削加工業界の情報収集にTwitterを活用しているアカウントが複数存在しています。

企業サイトと大きく異なる点として、SNSはフォロワー数やチャンネル登録数という形で、その会社の影響力を誰でも簡単に確認できるという特徴があります。
例えばTwitterをメインの情報収集源にしている方は、売上1000億でフォロワー数600人の企業より、売上100億でフォロワー数6000人の企業に影響力を感じます

つまり、中途半端なSNS運用は業界における企業の立ち位置を低く見せてしまうため、やるなら本気で取り組むべきだと考えます。

採用の視点においても、誰でも簡単に確認できる企業の影響力として、Twitterのフォロワー数を意識する必要があります。


スマホに最適化されたサイトが必須

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Z世代はWEBで積極的に情報を収集していますが、検索に使用するデバイスはパソコンではなくスマートフォンがメインです。
そのため、企業サイトがスマホに最適化されていることが必須です。

ただし、切削加工業界で業務時間に利用されているデバイスについて、スマホの利用率はまだまだ低いです。

参考にタクミセンパイの閲覧デバイスを紹介します。

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タクミセンパイはTwitterを積極的に活用しているため、ツイートからWEBサイトに流入していることが多く、切削加工業界の一般的な企業サイトと比較するとモバイル(スマホ含む)の利用率が高いと考えます。
モバイルの利用率が高いタクミセンパイであっても、パソコンでの閲覧が60%を超えています。

切削加工業界の企業で、会社からスマホが支給されているのは経営陣と営業くらいではないでしょうか。

ただ、現場でちょっと調べたいと思った時に、個人のスマホを利用することがあるという話はよく聞きます。

そのため、切削加工業界においてもスマホに最適化したサイトを提供することが必須であると考えます。

切削加工業界の企業サイトについて、スマホどころか、パソコンサイトもかなり見にくいものが存在しています。
Z世代はタイパ(タイムパフォーマンス)を重視することから、見やすい・探しやすいサイトを提供することは、検討対象に選んでもらうために必須です。

Twitterにおいて、工作機械の導入を検討した際に、寸法情報を確認するだけでも個人情報の入力を求められ、そのメーカーを候補から外したというツイートを確認したことがあります。
メーカーは過度な情報保護や営業の効率性を求めすぎてしまうと、タイパが悪いという理由で候補から外されるリスクを認識する必要があります。

採用の視点において、Z世代の志望者が利用しているデバイスは「スマホ」が多いと考えられます。
企業サイトが「スマホ」に最適化されていなければ、サイトにアクセスした瞬間に失望し、出願対象から除外されてしまうかもしれません。

パーソナライズされた情報を求める

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デジタルネイティブであり、スマホネイティブ・SNSネイティブであるZ世代は、パーソナライズされた情報を求める傾向があります。
つまり、全ての顧客に届けられる情報ではなく、自分に最適化された情報の提供をZ世代は求めています

切削加工業界のZ世代は「自分のこと」を理解し、最適な情報を提供してくれるメーカーや販売店を好むと考えます。
「自分のこと」とは、会社の事業戦略、社内政治事情、加工している被削材の材質、使用している機械のスペック、使用している切削工具、製品選定において重要視しているポイントなど様々です。

頻繁に顧客と接触しているメーカー営業や販売店営業において、顧客のことをより深く知り、情報を記録することが重要になります。
そして、パーソナライズされた情報を提供するために、顧客情報を正確に管理・更新し続ける必要があります。

購入前の厳しい品質チェック

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Z世代は購入前に価格と品質(評価やレビュー)について厳しくチェックします。
価格と品質のバランスをあわせてコスパ(コストパフォーマンス)が高いと表現されることが多いです。

購入のしやすさや、返品のしやすさ、対応してくれるスタッフの対応力などサービス面での品質も厳しく評価します。

切削加工関連製品においては、商流の関係で価格をオープンに開示できないなどの制約があるため、企業は品質に関する情報発信に力を入れるべきだと考えます。
ただし、Z世代は企業が発信する情報ではなく、ユーザーのリアルな感覚に触れられる評価やレビューを求めています

切削加工関連製品の採用ユーザー情報は発信するのが難しいのが現状です。
その背景には、企業としてどの製品を使っているかが競争力になるため情報を外に出したがらないなどの理由があるからです。

そのため、切削加工関連製品の品質情報は、商談で極秘に伝えるという方法が取られてきました。
今後は採用ユーザーとの関係性を高め、インタビュー記事などによってユーザーのリアルな声を発信することが重要になってきます。

品質情報の発信が難しいという課題を解決するために、タクミセンパイでは切削加工ユーザーのアンケート結果を会社・個人が特定されない形に集計・編集し、切削工具の評価情報として提供しています。
Z世代の切削工具選びにおいて、今後タクミセンパイが発信する情報の重要性は上がっていくと予測しています。

切削工具における品質情報について「切削工具の口コミ・レビュー・評価の確認方法」の記事でまとめています。

品質情報のクローズドな発信方法として、今後ユーザー間の交流が可能なコミュニティの重要性も高まると考えます。


社会課題への取り組みを重視

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Z世代は企業が社会課題の解決に取り組むことを高く評価します。
また、社会課題に対する曖昧な姿勢を厳しく評価します。

「社会課題」という言葉には明確な定義がないため、SDGsを参考に説明します。
持続可能な開発目標であるSDGsは、17のゴールと169のターゲットで構成され、社会課題の解決として必要な取り組みが明確に定義されています。

Z世代の社会課題に対する意識の高さが分かるデータとして、SDGs認知率に関するデータを紹介します。

企業広報戦略研究所(株式会社電通パブリックリレーションズ内)が2020年6月24~30日で実施した「2020年度 ESG/SDGsに関する意識調査」より、男性のSDGs認知率のグラフが下記です。
(男女でグラフが分けられていたため、男性のグラフで説明)

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2020年度 ESG/SDGsに関する意識調査より作成


男性20代は特にSDGsの認知率が高く、社会課題に対する興味・関心が高いといえます。

Z世代に対して、利益より大切なものを追求する姿勢を見せるために、企業は社会課題の解決に取り組み、発信する必要があります。
そして、SDGsという流行に便乗するような取り組みレベルではなく、事業のコアに取り入れる本気の姿勢が必要です。

Z世代の社会課題解決に対する興味・関心の高さと価値感を正しく理解できていないと、顧客離れ、自社の若手社員の離職というリスクがあることを知っておく必要があります。

採用の視点においても、利益より大切なものを追求する姿勢は、Z世代の志願者に対するアピールとして重要になると考えます。

編集長コメント

「切削加工業界のZ世代戦略」いかがでしたか。

高額であるため購入において複数の承認を必要とする工作機械より、安価であるため担当者で購入まで可能な切削工具において、Z世代に対する戦略が重要になってくると考えます。
デジタルでの適切な情報提供の場を整え、顧客を理解した上でパーソナライズされた情報を届け、社会課題の解決に取り組むメーカーが、Z世代の心を掴むと予想します。

今回記事を書いて、改めて企業はマーケティングを見直す必要があると感じました。
Z世代に対するマーケティングには、同世代であるZ世代の若手に担当させることが重要であると考えます。

そして、Z世代戦略の重要性を社内で浸透させるためにも、経営にZ世代の意見を取り入れる仕組みが必要であると考えます。

今回紹介したポイントは、Z世代に限らずX世代とY世代においても効果が出ることばかりですので、早めに取り組むことをオススメします。

最後に、Z世代の戦略以上に、切削加工業界に優秀なZ世代を増やすことを業界全体として取り組む必要性があると感じました。

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