切削加工業界の動き・トレンドを知りたいと困っていませんか。
この記事を書いた私は工具メーカーでの営業・マーケティングの経験を活かし、切削工具と切削加工業界に特化した専門サイト「タクミセンパイ」を2020年から運営しています。
2024年の活動の中で感じた切削加工業界の変化をまとめています。
本記事では切削加工業界の2024年を振り返り、動き・トレンドをまとめています。
切削加工業界2024年振り返り
切削加工業界の2024年を振り返り、業界の動き・トレンドについて下記4つのテーマで紹介します。
- 切削加工業界の景気
- JIMTOF2024開催
- 切削加工業界でのX活用がさらに進む
- ノベルティの重要性
切削加工業界の景気
工作機械の受注は景気の先行指標とされています。
日本工作機械工業会が公開している工作機械主要統計のうち、2022年・2023年・2024年(10月まで)の受注総額をまとめたものが下記です。
2024年の工作機械受注総額は10月までの累計で2022年比82.3%、2023年比98.3%でした。
工作機械の受注総額は2022年と比較して10ヶ月連続前年を下回っており、2023年と比較しても低い水準でした。
切削加工業界としては新たな投資が進むような1年ではなかったといえます。
経済産業省機械統計の切削工具 生産高のうち、2022年・2023年・2024年(9月まで)の受注総額をまとめたものが下記です。
2024年の切削工具生産高は9月までの累計で2022年比92.3%、2023年比92.5%でした。
消耗品である切削工具の生産高は2022年・2023年同等であったため、切削加工自体はそこまで減少していないと考えられます。
金属加工をされている企業のXアカウントの投稿より「近所の会社が倒産した」「倒産案件の見積もりがきた」など今年も見かけましたが、2023年と比較すると少し落ち着いているのではいう印象でした。
専門誌の特集を分析した「【2024年】専門誌の特集で振り返る切削加工業界のトレンド」を公開していますが、2024年特有のトレンドはありませんでした。
トレンド起因で売上が伸びることはなく、また特定の業界が伸びたということもなかった1年でした。
JIMTOF2024開催
2024年11月5日(火)〜10日(日)に東京ビックサイト(東京国際展示場)でJIMTOF2024が開催されました。
展示面積は118,540㎡、出展社数は1,262社(5,743小間)で過去最大規模となりました。
JIMTOF2024の来場者数合計は129,018人で、JIMTOF2022の114,158人と比較して14,860人増えました(前回比113%)。
新型コロナウイルスの影響を受けていないJIMTOF2018の来場者数合計は153,103人だったため、2024年は2018年と比較すると来場者数が15.7%減っています。
日曜日の来場者数は他の曜日と比較して昨年同様に少なく、前回から0.4%減少しています。
土曜日・日曜日の来場者数が減少傾向にあり、切削加工業界で働き方に変化が起きていると考えます。
JIMTOF2022と比較して来場者数は回復しているものの、まだ新型コロナウイルスの影響を受けていないJIMTOF2018規模には戻っていません。
JIMTOF2018と比較して、2024年は会場が拡大し(南展示棟が追加)、開催時間が延び(東展示棟は最終日を除き17~18時も開催)ているため、もう2018年のような来場者数に戻ることは難しいかもしれません。
JIMTOFの来場者数を増やすことが難しくなったため、主催者は来場者の満足を上げる方向へシフトし、出展者・来場者の交流など別の価値を持たせる動きをしていくのではと考えています。
JIMTOF2024の結果について詳しくは「JIMTOF2024の来場者数と会場レポート」をご覧ください。
切削加工業界でのX活用がさらに進む
切削加工業界におけるXの活用が2023年と比較してさらに活発であったと感じました。
下記アンケート結果より、JIMTOF2024参加の目的を「出展者・来場者との交流」としている方が増えていることがわかります。
来場者が出展者と交流する上で、SNS(特にX)での普段の投稿やコミュニケーションがブース訪問の心理的ハードルを下げていることがわかってきました。
そのため、Xの重要性が高まっていると考えています。
切削加工業界のSNSとしては最もXが活用されており、Xを運用していないことの方が企業としてはリスクであり(認識されずに他社に顧客を奪われる)、Xで告知だけの投稿しかできていないことは運用のメリットが少ないと考えます。
「切削加工業界でSNS「X」を活用する3つの方法」の記事では、切削加工業界で「X」を活用する方法として「Xで情報を発信する」「Xで情報を収集する」「Xで交流する」を紹介しています。
ノベルティの重要性
来場者が出展者と交流する上で、SNS(特にX)での普段の投稿やコミュニケーションだけでなく、ノベルティがブース訪問の動機につながっていることもわかってきました。
つまり、JIMTOF参加の目的を「出展者・来場者との交流」としている方に対して、ノベルティ配布が有効な集客手法であるといえます。
これは、革新的な新製品がなかなか出展されず、積極的な投資が進まない中で、JIMTOF会場でしか入手できないノベルティがユーザーの満足度を高めるアイテムになっているからだと考えられます。
ただし、ノベルティであれば何でもよいわけではなく、自社のロゴを印字しただけの量産品ではないオリジナルのこだわりノベルティが来場者の満足度を高めています。
製造業が提供する企業ノベルティは、たとえ自社で製造していなくても、モノとしてのノベルティから企業のこだわりやモノづくりに対する姿勢が伝わってきます。
また、自社の顧客がノベルティとして何を欲しているのか、顧客分析ができているかもわかるため、ノベルティから企業の顧客理解度が見えてくると考えます。
JIMTOF2024で確認できたこだわりノベルティとしては「JIMTOF2024 出展社こだわりノベルティ紹介」にまとめているので、参考にしていただければと思います。
会場で視察をする中で気付いたことは、こだわりノベルティを用意しているのに、その発信が不十分であるため、気づいてもらえていない残念なケースがあることです。
JIMTOFを現地とXで見た上での考察は、「Xを普段からしっかり運用してコミュニケーションを取り(告知だけのアカウントではない)、発信したくなるこだわりのノベルティを用意し(ユーザーが欲しいものを理解している)、事前にしっかりノベルティの情報を発信し、競合関係なく配布数量を用意できた」出展社が特に上手くいっていたのではと考えました。
Xには発信力を持った方がたくさん存在しており、それらの方はノベルティの画像を積極的に投稿しています。
これらの発信力のある方にノベルティを届けて発信してもらうことが、出展社の勝ち筋ではないかと今回結論づけました。
ファンを増やす、こだわりノベルティを作る重要性については「ブランドを磨いてファンに推してもらうことの重要性」で解説しています。
編集長コメント
「切削加工業界2024年振り返り」いかがでしたか。
切削加工業界の変化を中心にまとめました。
業界誌や専門誌を見ているだけでは気づけない視点もお伝えできたと思いますので、業界関係者の皆さまは参考にしていただければ嬉しいです。
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執筆者情報
本記事はタクミセンパイの服部が執筆・編集しました。
私は工具メーカーでの営業とマーケティングの経験を活かし、切削工具と切削加工業界に特化した専門サイト「タクミセンパイ」を2020年から運営しています。
私(服部)の実績や経歴については「運営について」に記載しています。
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