切削加工業界の将来性を知る上で、工学部の学生が切削加工業界にどれだけ興味を示しているか知りたくても、参考となる情報が存在せず困っていませんか。
この記事を書いた私は工具メーカーでの営業・マーケティングの経験を活かし、切削工具と切削加工業界に特化した専門サイト「タクミセンパイ」を2020年から運営しています。
中立的な立場としてアンケートを設計し、調査を実施しました。
本記事では「工作機械や切削工具の情報を入手するキッカケ」と「切削加工業界への就職に対する興味」について調査した内容をまとめています。
この記事を読むことで、2024年の工学部学生の切削加工業界に対する興味がわかり、業界や企業としての人材獲得の参考になります。
アンケート調査の結果、工学部の学生が切削加工業界への就職について興味をもっている割合は2~3割と低いことがわかりました。
本記事のポイント部分をまとめたYouTube版「工学部の学生にアンケート調査をしてわかった切削加工業界に対する興味」も公開しています。
工学部の学生に切削加工業界に対する興味を聞いてみた2024
回答者(学生)の属性
ある大学(匿名とさせていただきます)の学生に対してアンケート調査を実施しました。
特定の大学のみの結果であることから、全国の学生を網羅したアンケート結果ではないことをご理解ください。
アンケートの概要は下記となっています。
調査方法 | WEBアンケート |
集計期間 | 2023年12月29日~2024年1月14日 |
回答数 | 63名(すべて学生) |
利用データ数 | 50名分 |
63名のうち、学部として工学部、学科として機械科・電気科・情報科のみを抽出した50名分のデータを集計しました。
アンケート回答者の学科
工学部の学生(50名)の学科分布は下記となっています。
アンケート回答者の学年
工学部の学生(50名)の学年分布は下記となっています。
工作機械や切削工具の情報を入手するキッカケ
工作機械や切削工具の情報を入手するキッカケについて調査した結果が下記です。
「学校の設備」が最も多い74%でした。
続いて「授業の配布資料」が56%、「教科書・参考書」が48%でした。
「業界新聞」「業界誌・専門誌」については0%でした。
切削加工業界への就職に対する興味
工作機械メーカー就職に対する興味
工作機械メーカー就職に対する興味を選択式で回答してもらった結果が下記です。
工作機械メーカー就職に対して興味をもっているのは全体の30%でした。
機械科のみ(22名)の結果が下記です。
切削工具メーカー就職に対する興味
切削工具メーカー就職に対する興味を選択式で回答してもらった結果が下記です。
切削工具メーカー就職に対して興味をもっているのは全体の18%でした。
興味をもっている割合は工作機械メーカーより12%低い結果でした。
機械科のみ(22名)の結果が下記です。
金属加工業就職に対する興味
金属加工業就職に対する興味を選択式で回答してもらった結果が下記です。
金属加工業就職に対して興味をもっているのは全体の22%でした。
興味をもっている割合は工作機械メーカーより8%低く、切削工具メーカーより4%高いという結果でした。
機械科のみ(22名)の結果が下記です。
編集長コメント
「切削加工業界に対する興味について工学部の学生に聞いてみた2024」いかがでしたか。
切削加工業界に優秀な若い人材を増やし、切削加工業界が人材面においても持続可能なビジネスになるためのヒントになればと思い、この調査を実施しました。
特定の大学のみの結果であることから、全国の学生を網羅したアンケート結果ではありませんが、参考になるデータではあると思います。
工作機械や切削工具の情報を入手するキッカケについて、「学校の設備」が最も多い74%でした。
学校で使用した工作機械のメーカーが、就職において1つの検討材料になるとすれば、工作機械メーカーが学校に工作機械を寄贈することは効果的であると考えます。
工作機械を開発したり製造するのではなく、自ら操作して加工したい学生も存在すると考えると、金属加工業(工作機械で切削加工されている企業)は学生に対してどのメーカーの設備を保有しているか発信することが重要になるかもしれません。
また、入社したばかりの新入社員に対して、最新機種や学校の設備にない工作機械(高額・巨大・特殊なもの)に触る機会を提供することが重要なのかもしれません。
JIMTOFは学生の参加に力を入れていますが、「展示会」を情報の入手に利用している割合は14%と低い結果でした。
「業界新聞」「業界誌・専門誌」については0%であり、学生に対して情報を届ける方法を業界全体として検討する必要があると感じました。
切削加工業界への就職について、「興味がある」割合は20~30%程度と低く、この少ない学生を各企業が取り合っている状況だと思います。
学生に対して情報を届けるだけでなく、切削加工業界に興味を持ってもらう取り組みを業界全体として急務で進めるべきだと感じました。
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執筆者情報
本記事はタクミセンパイの服部が執筆・編集しました。
私は工具メーカーでの営業とマーケティングの経験を活かし、切削工具と切削加工業界に特化した専門サイト「タクミセンパイ」を2020年から運営しています。
私(服部)の実績や経歴については「運営について」に記載しています。
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