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化粧品との共通点から考える切削工具ビジネス

切削工具ビジネスの戦略を考えるヒントを探していますか。
本記事では切削工具と化粧品の6つの共通点から、切削工具ビジネスの営業・マーケティングに役立つ情報を紹介しています。

この記事を書いた私は工具メーカーでの営業・マーケティングの経験を活かし、切削工具と切削加工業界に特化した専門サイト「タクミセンパイ」を2020年から運営しています。

この記事を読むことで、切削工具のビジネスモデルを深く理解し、取るべき営業・マーケティング戦略が明確になります。

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化粧品との共通点から考える切削工具ビジネス

切削工具と化粧品のビジネスには共通点が多いです。
そこで、身近でわかりやすい化粧品を例に、切削工具ビジネスの戦略を考えるヒントを本記事では紹介しています。

化粧品との共通点から切削工具のビジネスモデルを理解し、取るべき営業・マーケティング戦略を考えていきます。

切削工具ビジネスと化粧品の6つの共通点をそれぞれ解説しています。

  • 切削工具は勝手に売れる製品ではない
  • 切削工具は製品だけでなくブランドが重要
  • 切削工具はユーザー評価が重要
  • 切削工具は使い方が重要
  • 切削工具はサンプルを配る
  • 切削工具は消耗品である



切削工具は勝手に売れる製品ではない

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切削工具と化粧品の製品特徴として「勝手に売れる製品ではない」という共通点があります。

もちろん世の中のほとんどの製品やサービスは、勝手に売れるものではありません。
ただ、切削工具と化粧品は高額なものから安価なものまで、そして昔からある定番品から新製品まで、見た目に違いがほとんどない製品が膨大なバリエーションで存在しています。

そして、膨大なバリエーションを数十社以上が取り扱っており、選択肢が多い製品です。
さらに、国産メーカーの製品だけでなく海外メーカーも一般的に流通している点も共通しています。

そのため、ユーザーに対してマーケティングを実施し、企業と製品を認知してもらい、他社との差別化ポイントを伝えて買ってもらう必要があります。

製品の認知度を向上させるための施策として、化粧品の場合は芸能人を起用したCMや雑誌への露出を増やす他、SNSが活用されています。
一方、切削工具の場合は展示会や業界新聞・専門誌で露出を増やす方法が一般的です。

切削工具メーカーにおいてもSNSの活用が進み、先行して取り組む企業が結果を出し始めています

マーケティング担当者は、SNS活用の重要性を理解し、社内の合意を得た上で、運用を開始する必要があります。
特にZ世代においてSNSは重要であり、その理由を紹介した記事として「Z世代に対して切削加工業界が取るべき5つの戦略」を、企業としてSNSを始める時に役立つ「企業アカウントがSNSを活用するための運用体制づくりと注意点」の記事を公開しています。




切削工具は製品だけでなくブランドが重要

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切削工具と化粧品の製品特徴として「製品だけでなくブランドが重要」という共通点があります。

「勝手に売れる製品ではない」とも関連しますが、他社と製品力・サービス力にほとんど差がなければ、最後はブランド力で選ばれる可能性が高いです。

化粧品においてブランドというキーワードには馴染みがあり、百貨店の化粧品コーナーで販売していて、高級品というようなイメージを持たれる方が多いと思います。
間違ってはいませんが、必ずしもブランド=高級品ではなく、コスパの高さでブランド力を高めている化粧品も存在します。

切削工具においてブランドというキーワードが使われることはまだ少ないですが、重要であると考えます。
ブランド力を強めることができれば、「ドリルといったら○○メーカー」、「エンドミルといったら○○メーカー」という純粋想起によって、切削工具ユーザー(工作機械で切削加工されている方)にファーストチョイスされるポジションを獲得できます。

マーケティング担当者は、ブランドの重要性を理解し、社内の合意を得た上で、ブランディングを開始する必要があります。
切削工具メーカーにおけるブランドの重要性について「ブランドを磨いてファンに推してもらうことの重要性」の記事で紹介しています。

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切削工具はユーザー評価が重要

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切削工具と化粧品の製品特徴として「ユーザー評価情報が重要」という共通点があります。

製品力・サービス力・ブランド力が高いことはもちろんですが、どんな人が製品を使っていて、何に満足しているかの情報をユーザーは求めており、採用のための判断材料にしています。

化粧品では、芸能人やインフルエンサーの口コミが購買につながったり、@コスメというプラットフォームでユーザーが発信したレビュー情報が購入の検討に活用されています。

切削工具においても、大手〇〇会社が採用している、自動車部品の○○で採用されているという実績・採用事例が切削工具ユーザーの判断材料になります。

採用されている会社名やワークの写真を実績・採用事例としてそのまま公開することが業界構造上難しいので、切削工具の場合は少し内容を改変して発信されています。
営業担当者は、幅広い業界とワークの採用実績を把握し、ユーザーに対して即座に情報を提供できる知識を身につける必要があります。

タクミセンパイにおいても、業界ごとにユーザー評価を紹介しています。

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ユーザー評価については「切削工具の口コミ・レビュー・評価を確認する方法」の記事を参考にしてください。

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また、同業者であるユーザーがオススメする製品という情報も、採用判断の材料にされます。
切削工具ユーザーが選ぶオススメの切削工具メーカー」の記事で、切削工具ユーザーに選ばれるメーカーの情報を紹介しています。

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切削工具は使い方が重要

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切削工具と化粧品の製品特徴として「使い方が重要」という共通点があります。

化粧品は製品が良くても、うまく化粧できないと(使えないと)、仕上がりにユーザーは満足せず、リピート購入してくれません。

InstagramやTiktokにおいてメイク動画が再生数を伸ばしていることから、化粧品の使い方の重要性がわかると思います。
そして、化粧品は人の顔立ちや好み、年齢や肌質ごとに製品が変わるため、それぞれのターゲットに向けた使い方の情報が重要です。

切削工具においても、切削工具ユーザーが使用する工作機械の種類・スペックは異なり、被削材の材質・形状のバリエーションも幅広いです
そのため、それぞれの切削工具ユーザーに最適な製品と使い方に関する情報を提供することが重要です。

切削工具業界では、動画を使って加工スピードや切粉の飛び方を紹介したり、Before・Afterのワーク画像や切粉で仕上がりを説明することが多いです。
最近は見やすい・わかりやすい動画に見慣れている切削工具ユーザーが多いので、見てもらうための動画のクオリティが重要です。

また、最近はWEBブラウザやアプリでチャットによる有人相談やAIを利用した自動回答が普及してきました。
全てのケースに対して動画や画像を用意することは難しいため、マーケティング担当者はIT・AI技術を活用して幅広いケースへの相談対応を構築することが重要になっています。



切削工具はサンプルを配る

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切削工具と化粧品の売り方として「サンプルを配る」という共通点があります。

化粧品は雑誌の付録や店頭配布物で1回分のサンプルを配ることが多いです。
その理由として、化粧品は違いがわかりにくくバリエーションが多いということもありますが、使ってみないと肌質や好みにあうかを確認できない性質があるからです。

また、化粧品ではお手頃な値段に設定したお試しセットを販売し、製品購入につなげるプロモーションが効果的とされています。

切削工具においては、チップなど安価なものをサンプルで提供するようなプロモーションが実施されています。
サンプルの配布は、違いがわかりにくい・伝えにくい製品において、相性の良いプロモーション手段だと思います。

ただし、サンプル提供が当たり前になると、実施しないと顧客を奪われるという不安から、後戻りできなくなるという課題があります。
また、SDGsという観点で、使われないものを大量に提供して廃棄されてしまうのは適切とはいえず、今後変わっていく可能性は高いです。

サンプルの提供は、本当に必要な切削工具ユーザーに届ける仕組みを営業担当者とマーケティング担当者で構築することが重要です。




切削工具は消耗品である

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切削工具と化粧品の売れ方として「消耗品である」という共通点があります。

化粧品は自分にあっていることが確認でき、品質・価格に満足してもらえれば消耗品としてリピート購入されます。

化粧品の消費量としては数か月で1点購入される程度です。
他の商品に切り替えられないように定期的にパッケージをリニューアルしたり、ECサイトなどではリピート購入者に特典を与えるキャンペーンなどが化粧品では実施されています。

切削工具はユーザーの目的を達成でき、品質・価格を満たした場合、消耗品としてリピート購入されます。
加工するワークの生産量によって月に数本から数十本の切削工具が使用されることもあり、購入数が多い場合は営業戦略として特別割引を実施するケースもあります。

切削工具は加工するワークが生産終了すると使われなくなるため、営業担当者は常に切削工具ユーザーとコミュニケーションを取り、生産計画の最新情報を入手して適切な量と価格で切削工具を販売する必要があります。



切削工具と化粧品のビジネスモデルで異なる点

切削工具と化粧品のビジネスにおける6つの共通点を紹介しましたが、もちろん異なる点もあります。

異なる点の中で特に重要な2つのポイントを紹介します。

BtoB製品とBtoC製品という違い

切削加工具はBtoB製品、化粧品はBtoC製品といった違いがあります。

化粧品の対象の多くは女性で(最近は男性向けも増えていますが)、BtoC(個人向け)製品です。
そのため、個人にアプローチできれば購入につながるため、SNSによる情報発信やインフルエンサーを活用することで効果が出ます。
また、個人の趣向が重要であるため、パッケージを工夫したり、有名なキャラクターとコラボすることで購買につなげることが可能です。

一方、切削工具は切削加工をするユーザー(企業の社員)が購入するBtoB(法人向け)製品です。
ゆえに、切削工具の購入を検討・判断するのは担当者だけでなく、他部門や上司の判断、取引先の承認が必要なケースもあります。

BtoB製品である切削工具をスムーズに採用してもらうには、採用の判断に関わる全ての人をターゲットとして、企業・製品の認知度を向上させ、差別化ポイントをわかりやすく伝える必要があります。
そのため、マーケティング担当者は幅広い部署・年齢層に情報を届け、わかりやすい資料を提供しなければなりません。


ユーザー理解の難易度という違い

化粧品は、性別・年齢・肌質・好みなど、人に関する情報で製品を提案し、使い方をサポートすることで売ることができます。

一方、切削工具を売るには、使用している工作機械(マシニングセンタ・旋盤など)、業界(自動車業界・航空機業界など)、被削材の材料(鉄・アルミなど)などの複合的な条件から製品を提案する必要があります。
つまり、切削工具は化粧品以上にユーザー理解に必要な情報が多く、提案が難しい製品といえます。

そのため、営業担当者は販売店と連携してユーザーの詳細情報を効率的に集め、専門知識を活かしてオーダーメイドの提案をする必要があります。

編集長コメント

「切削工具と化粧品の共通点」いかがでしたか。

6つの共通点を紹介しましたが、化粧品のビジネスモデルを理解することで、切削工具メーカーや切削工具を販売する機械工具販売店の戦略の参考になればうれしいです。

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執筆者情報

hattori


本記事はタクミセンパイの服部が執筆・編集しました。

私は工具メーカーでの営業とマーケティングの経験を活かし、切削工具と切削加工業界に特化した専門サイト「タクミセンパイ」を2020年から運営しています。
私(服部)の実績や経歴については「運営について」に記載しています。

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