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【タングステンの有効活用】切削工具の再研磨・リサイクルとSDGs

ブログをご覧いただきましてありがとうございます。
「切削工具の情報サイト タクミセンパイ」を運営する、編集長の服部です。

本記事では、切削工具の再研磨・リサイクルとSDGs」について解説しています。
「切削工具を再研磨・リサイクルすることでSDGsに貢献し、さらにはレアメタルであるタングステンの有効活用につながる」という考えについて記事を執筆しました。

【記事の信頼性】
本記事を書いた私は、2014年から切削加工業界に携わり、2020年から「切削工具の情報サイト タクミセンパイ」を運営しています。

工具メーカーで営業として500社以上の切削加工ユーザーに訪問し、技術支援をさせていただきました。
また、マーケティングとして展示会とイベントの企画・運営、カタログとWEBサイトの大型リニューアルプロジェクト、ブランディングプロジェクトを経験しました。

営業とマーケティングの経験をもとに、切削加工業界で働く皆さまに向けて本記事を執筆しています。

切削工具の再研磨・リサイクルとSDGs

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切削工具の再研磨にはノウハウと専用の機械が必要であることから、切削工具を使い捨てしているユーザーが一定数いると認識しています。

再研磨の技術習得には時間がかかり、専用の機械を購入するには初期投資が必要であることから、再研磨をしないか、もしくは外注することは一般的な判断だと思います。

ただ、内製・外注に限らず、切削工具を再研磨して再利用することは、ユーザーにとってコストメリットがあるだけでなく、持続可能な社会の実現に貢献できると考えています。

また、使えなくなった切削工具を適切にリサイクルすることが重要です。

SDGsの目標12は「つくる責任 つかう責任」です。

sdgs

そして、目標12のターゲット12.5は、 「2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する」となっています。

切削工具の再研磨・リサイクルは、これらの目標達成に重要な取り組みであると考えます。
タクミセンパイでは「切削工具SDGsコンテスト」を開催することで、切削工具の再研磨を通じたSDGsを促進いたします。

また、超硬合金の約90%はレアメタルであるタングステンで構成されており、適切なリサイクルを行うことで資源を有効活用できると考えています。

切削工具の再研磨・リサイクルとSDGs、そしてレアメタルであるタングステンの有効活用について下記の内容を解説しています。

  • 超硬工具を再研磨・リサイクルすることで削減できるエネルギー
  • レアメタルであるタングステンの現状
  • タングステンに関する国や企業の取り組み事例

再研磨・リサイクルで削減できるエネルギー

ドリル研磨作業


切削工具を再研磨することにより、どれだけのエネルギーを削減することができるかのデータは見つけることができませんでした。
(もしご存知の方がいましたらお問い合わせよりご連絡お願いいたします。)

切削工具をリサイクルすることで削減できるエネルギーについて、世界最大の切削工具メーカーのサンドビック株式会社様(スウェーデン)が、超硬工具のリサイクルに関して情報を公開しています。

サンドビック様におけるリサイクルでは、再生された超硬合金で新しい工具を製造することで、未使用原材料で製造するよりもエネルギーを70%削減、二酸化炭素の排出量を40%減少できると発表しています。

レアメタルであるタングステンの現状

Metallfräser


超硬工具の約90%はレアメタルであるタングステンで構成されています。

タングステンは熱に強く、他の金属と混ぜる(合金化する)ことで硬度が高くなるなどの特徴から、世界の主要国で主に超硬工具の製造用途に利用されています。

資源としてのタングステンの現状について、埋蔵・鉱石生産・製錬工程が特定国(中国の割合が高い)に偏在し、日本は全量を輸入に依存していることから、供給リスクが高いという課題があります。

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「2050年カーボンニュートラル実現に向けた鉱物資源政策」より


そして、タングステンは代替可能性が低いことが課題となっています。

超硬工具の生産高は切削工具全体の約7割を占めているため、タングステンの有効活用は切削加工業界において重要なテーマであるといえます。

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タングステンを有効活用するために、直近のアクションとしては切削工具の再研磨による有効活用と国内リサイクル率の向上が必要であると考えます。

タングステンに関する国や企業の取り組み事例

国の取り組み

経済産業省 資源エネルギー庁のタングステンに対する取り組みとして、下記が実施されています。

  • オセアニアでの埋蔵探査
  • 備蓄対象鉱種への指定
  • 省資源化の技術開発支援
  • 廃棄される超硬工具のリサイクルコストを低減する技術開発


上記の中で、備蓄対象鉱種への指定、省資源化の技術開発支援が一定の効果を出したと報告されています。

今後は新たな埋蔵地の探査、リサイクルを促進・円滑化するための政策支援が検討されています。

日本企業の取り組み

切削工具の原材料から完成品までを手掛ける国内大手メーカーの住友電工グループ様は、超硬工具(チップやドリル・エンドミル等)のほぼ全量(国内販売量100%)を国内でリサイクルできる体制を完備し、リサイクルを推進しています。

住友電工グループ様の超硬工具のリサイクルに関する情報はこちらに掲載されています。


海外企業の取り組み

ドイツのBMW様は、使用済みの切削工具(ドリルやフライス等)からタングステンを回収し、ドイツとオーストリアの工場で超硬工具用のセカンダリー・タングステンとして再利用を開始しています。

現地の再生可能エネルギーを100%活用し、スクラップから粉末状の再生タングステンを生産。
その後、タングステン粉末から超硬工具を製造し、同社工場で利用しています。

BMW様の年間スクラップ排出量は9tで、平均タングステン含有率は80%以上。
この取り組みで、年間タングステン消費量を7t、エネルギー消費量を70%、二酸化炭素排出量を60%削減できると発表しています。

聴くSDGs media(音声メディアVoicy)に出演

株式会社Dropが手掛けるSDGs mediaの公式チャンネル「聴くSDGs media(音声メディアVoicy)」に出演し、切削工具の再研磨・リサイクル、タングステンについてお話させていただきました。

下記リンク先で無料で聴くことができます。

タクミセンパイに聞く「切削工具業界が抱えるレアメタル問題」

編集長コメント

「切削工具の再研磨・リサイクルとSDGs」、いかがでしたか。

切削工具の再研磨によって削減できるエネルギーに関する情報を得ることはできませんでしたが、全ての切削加工ユーザーが取り組めるSDGsの1つとして再研磨は重要であると考えます。

サンドビック様とBMW様における超硬工具のリサイクルについて、エネルギーを70%削減、二酸化炭素の排出量を40~70%減少させるという効果が出ており、インパクトの大きな数値であると受け止めています。

日本においても、切削工具メーカーや機械工具販売店、切削加工を事業とする大企業が率先して切削工具の再研磨・リサイクルを進めて欲しいと思います。
切削工具メーカーと機械工具販売店においては、営業の評価を新品の工具の販売実績だけでなく、再研磨やリサイクルの実績も評価する仕組みが必要であると考えます。

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