切削工具における金属3D積層造形(Additive Manufacturing , アディティブマニュファクチャリング)の活用状況を知りたいと困っていませんか。
この記事を書いた私は工具メーカーでの営業・マーケティングの経験を活かし、切削工具と切削加工業界に特化した専門サイト「タクミセンパイ」を2020年から運営しています。
切削工具の最新技術・トレンドを調査し、中立的な立場としてまとめています。
本記事ではJIMTOF2022の会場で確認できた金属3D積層造形製の切削工具として、4社・5製品を写真・解説付きでまとめています。
この記事を読むことで、切削工具の最新技術・トレンドとして「金属3D積層造形」の活用状況を知ることができます。
金属3D積層造形を活用した切削工具をJIMTOF2022で調査
金属3D積層造形(Additive Manufacturing , アディティブマニュファクチャリング)とは、金属粉末等を一層ずつ積み重ねていくことで、3次元の形状をつくる技術です。
金属3D積層造形を実行する装置を金属3Dプリンターなどと呼びます。
3次元の複雑形状をつくったり、中空構造で軽量化するなどが得意です。
JIMTOF2022で確認できた金属3D積層技術・金属3Dプリンターを活用した切削工具を紹介します。
金属AM技術(住友電気工業株式会社)
金属AM技術が参考出展され、特徴として下記が紹介されています。
〇難削材の高能率加工
・切削液流路の最適化
・自由な内部構造やポケット形状
〇アルミ合金の高能率加工
・アルミの軽さ+鋼の剛性、耐久性
超硬合金AM技術(住友電気工業株式会社)
超硬合金AM技術が参考出展され、特徴として下記が紹介されています。
〇難削材の高能率加工
・内部給油式突っ切りブレード
〇高硬度材の高精度加工、振動低減、工具寿命延長
・オール超硬バイト
ADD MEISTER DRILL(株式会社タンガロイ)
タンガロイでは金属3D積層造形を使ったドリルを発売しています。
最適な切削液流路を実現するために金属3D積層造形を利用しています。
この油穴形状の効果(切削油量の増加)を分かりやすく表現したTikTok動画が公開されています。
JET CROWN(イスカルジャパン株式会社)
イスカルジャパンでは金属3D積層造形を使った旋削ホルダを発売しています。
最適な切削液流路を実現するために金属3D積層造形を利用しています。
ステータ穴仕上げ用RIQリーマ(ケナメタルジャパン)
ケナメタルジャパンでは金属3D積層造形を使ったリーマを発売しています。
軽量化のために3D金属積層技術を利用しています。
編集長コメント
「JIMTOF2022に出展された金属3D積層造形を活用した切削工具」いかがでしたか。
切削工具の次のイノベーションの1つが、金属3D積層造形技術・金属3Dプリンターの活用だと考えます。
今回4社で金属3D積層造形を活用した切削工具を確認することができました。
3D金属積層技術を活用した切削工具はまだ市場に出ていないと思っていましたが、タンガロイ、イスカルジャパン、ケナメタルジャパンでは既に販売されており驚きました。
生産に時間がかかったり、コストが高いなどの課題はあるようですが、それ以上のメリットがあるため、市場に登場し始めています。
3DプリンターメーカーMarkforged社の事例記事の中に、「Guhring UK(グーリングUK) における特殊切削工具の3Dプリンター製造」を発見しました。
こちらでは1回限りの切削工具の生産を3分の1以下の時間で、かつ低コストで作成することに成功しています。
具体的な数値として66%の生産時間短縮、75%の治具費用削減、60%の治具軽量化が紹介されていました。
量産用工具への適用拡大はまだ時間がかかるかもしれませんが、生産数量が少ない特注工具においては期待できそうです。
切削工具における金属3D積層造形の活用について、今後の動向を注目していきたいと思います。
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執筆者情報
本記事はタクミセンパイの服部が執筆・編集しました。
私は工具メーカーでの営業とマーケティングの経験を活かし、切削工具と切削加工業界に特化した専門サイト「タクミセンパイ」を2020年から運営しています。
私(服部)の実績や経歴については「運営について」に記載しています。
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