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金属3D積層造形を活用した切削工具をJIMTOF2024で調査

切削工具における金属3D積層造形(Additive Manufacturing , アディティブマニュファクチャリング)の活用状況を知りたいと困っていませんか。

この記事を書いた私は工具メーカーでの営業・マーケティングの経験を活かし、切削工具と切削加工業界に特化した専門サイト「タクミセンパイ」を2020年から運営しています。
切削工具の最新技術・トレンドを調査し、中立的な立場としてまとめています。

本記事ではJIMTOF2024の会場で確認できた金属3D積層造形製の切削工具として、6社・9製品を写真・解説付きでまとめています。
この記事を読むことで、切削工具の最新技術・トレンドとして「金属3D積層造形」の活用状況を知ることができます

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金属3D積層造形を活用した切削工具をJIMTOF2024で調査

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金属3D積層造形(Additive Manufacturing , アディティブマニュファクチャリング)とは、金属粉末等を一層ずつ積み重ねていくことで、3次元の形状をつくる技術です。
金属3D積層造形を実行する装置を金属3Dプリンターなどと呼びます。

3次元の複雑形状をつくったり、中空構造で軽量化するなどが得意です。

2年前のJIMTOF2022で確認できた金属3D積層造形・金属3Dプリンターを活用した切削工具は「金属3D積層造形を活用した切削工具をJIMTOF2022で調査」で紹介しています。

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JIMTOF2024で確認できた金属3D積層技術・金属3Dプリンターを活用した切削工具を紹介します。

三菱マテリアル

積層造形製内部給油式 内径加工用バナナ形状工具

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汎用性の高いマシニングセンタでデフケースの内径加工をしたいといったニーズに対して、ワーク形状に応じた専用設計として「バナナ形状工具(特殊対応)」が参考出品されていました。

5軸マシニングセンタによる一貫加工支援、内部給油式によるさらなる寿命延長が特徴として紹介されていました。

こちらの製品は複雑な形状と切削油流路の実現を目的として金属3D積層造形が活用されています。

積層造形製 軽量化正面フライスカッタ BT30 主軸対応型

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標準品1.3kgに対して金属3D積層技術を活用した軽量化品は0.63kgで、51.5%の軽量化を達成しています。
ロボットでの切削加工への活用が提案されていました。

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内部の構造がよくわかるカットモデルも展示されていました。
こちらの製品は軽量化という目的で金属3D積層造形が活用されています。


住友電気工業

金属AM造形技術

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航空機・EV・自動車市場への高能率加工の提案として、鋼製軽量カッタが参考出展されていました。

難削材に対しては切削液流路の最適化と自由な内部構造・ポケット形状による高能率加工、アルミ合金に対してはアルミの軽さと鋼の剛性および耐久性による高能率加工が特徴として紹介されていました。

こちらの製品は最適な形状と切削油流路の実現、軽量化といった目的で金属3D積層造形が活用されています。

ステータハウジング/ベアリング取付穴加工用(3Dプリンター製)特殊複合ボーリング工具

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タンガロイ

TUNGSPEED MILL

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金属3D積層造形を活用したTUNGSPEED MILLのDC125㎜ 軽量タイプ(1.7kg)が発売されています。

ADDMEISTER DRILL DRILLMEISTER

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金属3D積層造形を活用したADDMEISTER DRILL DRILLMEISTERが発売されています。
本製品の6~7割に金属3D積層技術が利用されているとのことです。



イスカルジャパン

LOGIQUICK

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カタログ品での金属3D積層造形活用が進んでいるとのことです。


京セラ

EVモータハウジング用 AMボーリング工具

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金属3D積層造形を活用したボーリング工具が参考出品されていました。

最適デザインによって高剛性と軽量化を両立し、K-Bore搭載によって高精度と安定加工を実現するといった特徴が紹介されていました。

こちらの製品は最適な形状の実現、軽量化といった目的で金属3D積層造形が活用されています。

ケナメタルジャパン

最新型ステータ穴仕上げ用 RIQリーマ(3D積層技術適用)

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金属3D積層造形を活用したリーマが発売されています。
炭素繊維製の本体を持ち、総重量が8kg未満なので低出力機でもより迅速な工具交換と主軸回転を実現します。

JIMTOF2022でも展示されていましたが、外観が変わっていることが確認できます。

編集長コメント

「金属3D積層造形を活用した切削工具をJIMTOF2024で調査」いかがでしたか。

切削工具のイノベーションの1つが、金属3D積層造形の活用だと考えます。

金属3D積層造形を活用する目的としては、複雑・最適な工具形状および切削油経路の実現、軽量化、特殊品対応(小ロット)にあることが各社の取材を通して確認できます。

JIMTOF2022と比較して金属3D積層造形を活用した切削工具の展示が増えており、当たり前の技術になりつつあることがわかります。
生産に時間がかかったり、コストが高いなどの課題はあるようですが、金属3D積層造形が切削工具に今後さらに活用されていくことが予想できます。

ちなみに「積層造形」「金属AM造形」「AM(Additive Manufacturing)」「3D積層」「3Dプリンター」など各社表現方法が異なり、新技術ゆえに統一した表現がまだないことがわかります。

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執筆者情報

hattori


本記事はタクミセンパイの服部が執筆・編集しました。

私は工具メーカーでの営業とマーケティングの経験を活かし、切削工具と切削加工業界に特化した専門サイト「タクミセンパイ」を2020年から運営しています。
私(服部)の実績や経歴については「運営について」に記載しています。

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