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切削工具の再研磨サービスを提供する53社を分析

切削工具の再研磨サービスについてまとまった情報を探していませんか

この記事を書いた私は工具メーカーでの営業・マーケティングの経験を活かし、切削工具と切削加工業界に特化した専門サイト「タクミセンパイ」を2020年から運営しています。
中立的な立場として情報を収集し、記事としてまとめました。

本記事では「再研磨の市場規模」「再研磨とSDGs」「再研磨会社の分布・増加」についてまとめています。
この記事を読むことで、切削工具を再研磨することの重要性、再研磨サービスを提供する会社の現状を知ることができます。

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切削工具の再研磨サービスを提供する53社を分析

再研磨とは、使用して切れ味の悪くなった切削工具を研磨し、摩耗や刃こぼれを修復して、再び使用できるようにすることです

再研磨ができる切削工具としては、ドリル、リーマー、タップ、エンドミル、面取りカッターなどがあります。
刃長が短くなるため、再研磨できる回数には限界があります。

切削工具ユーザー(工作機械で切削加工されている方)が再研磨を内製する場合もあれば、再研磨をサービスとして提供している企業や機械工具販売店に委託する場合もあります。
再研磨技術を保有する技術者の高齢化や減少により、外部に再研磨を委託する動きがあるようです。

切削工具の再研磨サービスについて、下記の項目で分析を実施しました。

  • 再研磨の市場規模
  • 再研磨とSDGs
  • 再研磨会社の分布
  • 再研磨会社の増加

再研磨の市場規模

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再研磨の市場規模がわかる公表データを見つけることができませんでした。

ただ、再研磨の市場規模に関係する内容が書かれた企業のニュース・プレスリリースが存在するため、紹介いたします。

株式会社不二越のニュースリリース内で、2003年度の新作品(超硬ラウンドツール、精密工具)市場が480億円、再研削市場が320億円と記載されています。
(参考:2005年4月 株式会社不二越 切削工具の再研削・再コーティング事業を強化

株式会社MonotaROが2009年に出したプレスリリース内で、超硬エンドミルの市場規模が新品で約370億円、再研磨・再コーティング市場の規模が約400~600億円と予測されています。
(参考:2009年5月 株式会社MonotaRO様 5月14日(木)、切削工具の「再研磨・再コーティングサービス」を開始

これらの情報から再研磨の市場規模は新品切削工具と同規模かそれ以上あることがあります。

再研磨とSDGs

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再研磨とSDGs(Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標))について解説します。

切削工具を再研磨して再利用することは、切削工具ユーザーにとってコストメリットがあるだけでなく、持続可能な社会の実現に貢献できると考えられます。

SDGsの中でも、目標12「つくる責任 つかう責任」は再研磨と関連性が高い目標であると考えらえます。
目標12のターゲット12.5は、 「2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。」となっています。

再研磨とリサイクル・SDGsについては「切削工具の再研磨・リサイクルとSDGs」の記事で詳しく紹介しています。

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また、超硬切削工具の主要な材料であり、レアメタルのタングステンを有効活用するという点でも、再研磨は重要であると考えます。
タングステンについては「超硬切削工具の材料であるタングステンを有効活用することの重要性」の記事で紹介しています。

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再研磨会社の分布

再研磨サービスを提供している53社について、県ごとに会社数を記載してみました。

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切削加工業限定の統計データはないのですが、金属加工業や金属製品加工業の生産額上位の県に、再研磨会社が多いことが分かりました。

再研磨サービスは近隣の企業から受託する形が多いため、全国展開ではなくローカルで事業展開していることが多いです。

再研磨会社の増加

再研磨サービスを提供している53社について、企業数の増加をグラフ化しました。

縦軸が再研磨サービスを提供する会社の数、横軸は会社の創業・創立・設立された年です。
(WEBサイトに公開されている創業・創立・設立で最も古いものを使用)

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1960年頃から会社数が増加し、2000年以降も増えていることに驚きました。

再研磨の動向がわかる統計データを見つけることはできませんでしたが、会社数の増加から1960年以降に再研磨のニーズが高まっていることがわかります。

切削工具の再研磨サービスを提供する53社を分析まとめ

  • 再研磨市場は、新品の切削工具と同規模かそれ以上で推移してる(ただし公表データなし)
  • 再研磨はSDGsの目標12・ターゲット12.5との関連性が高く、切削工具ユーザーにとって再研磨はコストメリットがあるだけでなく、持続可能な社会の実現に貢献している
  • 再研磨サービスを提供している53社を分析した結果、金属加工部品の生産額が大きい地域に本社を置いていることがわかった
  • 再研磨サービスを提供している53社を分析した結果、1960年頃から会社数が増加していることがわかった

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執筆者情報

hattori


本記事はタクミセンパイの服部が執筆・編集しました。

私は工具メーカーでの営業とマーケティングの経験を活かし、切削工具と切削加工業界に特化した専門サイト「タクミセンパイ」を2020年から運営しています。
私(服部)の実績や経歴については「運営について」に記載しています。

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