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切削加工業界2023年振り返り

切削工具と切削加工業界の情報を発信するポータルサイト「タクミセンパイ」をご覧いただきありがとうございます。
当サイトを運営する編集長の服部です。

本記事では「切削加工業界の2023年」について振り返りました。
「切削加工業界の動き・トレンド」について理解が深まる記事を目指して執筆しました。

【記事の信頼性】
本記事を書いた私(服部)は2014年から切削加工業界に携わり、2020年から「タクミセンパイ」を運営しています。

工具メーカーで営業として500社以上の切削工具ユーザー(工作機械で切削加工されている方)に訪問し、技術支援をさせていただきました。
また、マーケティングとして展示会とイベントの企画・運営、カタログとWEBサイトの大型リニューアルプロジェクト、ブランディングプロジェクトを経験しました。

営業とマーケティングの経験をもとに、切削加工業界で働く皆さまに向けて本記事を執筆しています。

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切削加工業界2023年振り返り

切削加工業界の2023年を振り返り、業界の動き・トレンドについて下記4つのテーマで紹介します。

  • 厳しい状況と動く切削加工業界
  • MECT2023開催
  • 切削加工業界でXの活用が進む
  • XでHENKOF2023とMECat2023開催


厳しい状況と動く切削加工業界

工作機械の受注は景気の先行指標とされています。

日本工作機械工業会が公開している工作機械主要統計のうち、2022年と2023年(11月まで)の受注総額をまとめたものが下記です。

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工作機械主要統計より作成


工作機械の受注総額は11ヶ月連続前年を下回っており、切削加工業界としては新たな投資が進むような1年ではなかったといえます。
工作機械の受注総額は11月までの累計で2022年比83.96%でした。



経済産業省機械統計の切削工具 生産高のうち、2022年と2023年(9月まで)の受注総額をまとめたものが下記です。

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経済産業省機械統計より作成


切削工具の生産高は9月までの累計で2022年比99.74%でした。
消耗品である切削工具の生産高に2022年同等であったため、切削加工自体はそこまで減少はしていないと考えられます。


12月にダイハツ工業の不正問題が発表され、出荷停止となりました。
帝国データバンクが12月21日にまとめた調査結果より、売上高の1%以上を依存しているサプライチェーン企業は8136社と報告されています。
そのうち「自動車部分品・付属品製造業」が630社、「金型・同部分品・付属品製造業」が468社と報告されており、切削加工業界に対する影響も大きいと考えられます。

また、金属加工をされている企業のX(旧Twitter)アカウントの投稿より「リーマンショックより厳しい1年」「近所の会社が倒産した」「倒産案件の見積もりがきた」など、厳しい状況の投稿が今年は目立っていたと感じます。

一方でこれらの厳しい状況の中、下請けからの脱却として自社製品の開発・販売を進めたり、企業同士のコラボレーションを進める動きも確認しています。

自動車のEV化が進んでいることを感じる1年でもあり、2023年は非常に変化があったという印象です。

MECT2023開催

mect2023-logo

2023年10月18日(水)〜21日(土)にポートメッセ名古屋でメカトロテックジャパン2023(以降MECT2023)が開催されました。
MECT2023は新第1展示館が初めて使用され、既存施設の第2展示館と第3展示館を含めた総展示面積は従来の34,000m2から6,000m2増え、40,000m2の最大規模で開催されています。

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MECT2023の様子(新第1展示館内)


新型コロナウイルスの影響を受けていないMECT2019の来場者数合計は90,244人で、2023年は2019年と比較して来場者数が14.4%減った77,225人でした。
会期中の新型コロナウイルスの影響について、会場でマスクをしている人(出展者・来場者)は1割程度であり、コロナ前とほとんど変わらない環境で開催されました。

新型コロナウイルスの影響がほとんどないタイミングでの開催でしたが、2019年の来場者数に届きませんでした。
来場者数の減少について、工作機械受注が(MECT2023開催時)9ヶ月連続前年を下回っていたなど、不況の影響でコスト削減として展示会の参加が難しくなったなどもあるのではと予想しました。

来場者数と曜日について、例年通り金曜日が最も多く、土曜日の来場者数は2021年と同じく減少(2019年と比較して47.8%減)しました。
JIMTOFでも土曜日・日曜日の来場者数が減少傾向にあり、切削加工業界で働き方に変化が起きていると考えます。

MECT2023の結果について詳しくは「MECT2023レポート」をご覧ください。


自動車産業が急速なEV化により100年に1度の変革期をむかえており、変化に対応するために同業者で関係を強化、新たなつながりを求める動きが増えています。

それらの動きを受け、企業だけでなく展示会も変わるタイミングがきているのではと考えます。
最新の情報はWEBで簡単に入手することができ、最新の工作機械は各社のプライベートショーで確認できる中、「人との出会い」と「交流」が展示会だからこそ提供できる価値の1つになるのではと考えます。

下記は主催者がMECT2021来場者に対して実施したアンケートの結果であり、来場者目的は「新製品情報・資料の収集」や「業界動向の調査」が上位となっています。

mect2021-visitor-purpose


MECT2023期間中、X(旧Twitter)の投稿で「出展者(Xの中の人)に会うため」「Xでつながった来場者同士で交流するため」といった目的で参加されている方を確認しています。

切削加工業界のビジネスを促すため、そして来場者数を回復させるために、主催者が来場者のニーズを把握し、これまでにないチャレンジをしてほしいと期待します。


切削加工業界でXの活用が進む

x-logo


切削加工業界におけるX(旧Twitter)の活用が2022年と比較してさらに活発であったと感じました。

切削加工業界でXの活用が進んでいる背景について、私の予想を紹介します。

切削加工業界に関する組織・団体として、工作機械メーカーが中心に加盟する「日本工作機械工業会」、切削工具メーカーが中心に加盟する「日本機械工具業会」、機械工具販売店が中心に加盟する「全日本機械工具商連合会」、金型加工に携わる企業が中心に加盟する「日本金型工業会」などが存在しています。

これら組織・団体は特定の分野に特化しており、切削加工業界全体をカバーしていません
切削加工業界全体をカバーする「交流の場」としてXが活用されていると予想しています。

切削加工業界でX(旧Twitter)を活用する方法」の記事にて、切削加工業界でXを活用する方法を3つのテーマで紹介してます。

  • Xで情報を発信する
  • Xで情報を収集する
  • Xで交流する


切削加工業界では企業の公式アカウント、企業の非公式アカウント、企業の個人アカウント、個人アカウントが存在していますが、どのアカウントであっても参考になると思います。

これからXを始めるという企業・個人の方に向けて、Twitter時代において「バズりに頼らずTwitterフォロワー1000人を達成する7つのポイント」と「Twitterで毎日ツイートを続けるためのコツとネタ8選」という記事を公開していますのであわせてご活用ください。


XでHENKOF2023とMECat2023開催

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切削加工業界にてX(旧Twitter)の活用が進む中、2023年11月20日(月)~24日(金)に国内最大の変態的(すごい)加工技術発信SNSイベントHENKOF2023とMECat2023が開催されました。

HENKOF2023とMECat2023には50アカウント以上の参加があり、期間中のXは盛り上がりました。
展示会とは異なる技術発信の場、そしてXを通じた「人との出会い」や「交流」にSNSイベントが活用されていると感じます。

HENKOF2023とMECat2023の紹介、参加された皆さまの投稿について「Xで開催されたHENKOF2023とMECat2023を紹介」の記事にまとめています。
こちらの記事を見ていただくと、Xの盛り上がりがわかりやすいと思います。

編集長コメント

「切削加工業界2023年振り返り」いかがでしたか。

2023年は厳しい状況でしたが、切削加工業界が変化のために動き始めていることを実感した1年でした。

タクミセンパイとして「切削加工業界のビジネスで勝つためのヒントを提供する」ことに力を入れているため、今後も感度高く情報を収集し、発信していきたいと思います。
2023年のタクミセンパイ活動は「タクミセンパイ3周年のご報告」で紹介しています。

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