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【インタビュー】再研磨.comを運営する宮本製作所に聞いた再研磨ビジネス

切削工具と切削加工業界の情報を発信するポータルサイト「タクミセンパイ」をご覧いただきありがとうございます。
当サイトを運営する編集長の服部です。

今回、再研磨.comを運営されている株式会社宮本製作所の宮本貴洋様に、インタビューさせていただきました。

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はじめに

株式会社宮本製作所について

株式会社宮本製作所は、創業以来、切削加工をメインに自動車部品や産業用ポンプ部品などの加工を行っています。

製品開発スピードの加速・国際市場における競争激化に伴い、要求レベルも上がっているため、ロボット×職人技によるモノづくりを実現し、さらに高いレベルでの技術提供を目指されています。

1. 再研磨事業を始めたキッカケ

タクミセンパイ服部(以下、服部):2007年に再研磨事業を始めたキッカケを教えてください。



株式会社宮本製作所 宮本様(以下、宮本様):焼結金属加工事業で切削工具を使用していたため、もともと自社の工具を再研磨していました。

会社を大きくしようと思って2007年に再研磨事業を立ち上げ、2012年6月に再研磨.comをオープンして外販を始めました。

再研磨用の工具研削盤はもともと保有していましたが、外販をするにあたり、非接触型全自動工具測定器やツールプリセッターを導入しました。

2. 宮本製作所の再研磨における強み

服部:宮本製作所の再研磨における強みを教えてください。



宮本様:焼結金属加工事業をおこなっているため、自らが切削工具ユーザーでもあり、ユーザー目線で再研磨を提案できるのが強みです。
また、切削工具ユーザーでもあるため、切削加工に関する新しい技術を取り入れることができます。

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「こんな加工をしたいから、こんな工具が欲しい」という要望に対して、切削工具ユーザーと再研磨会社という2つの視点から提案できるため、再研磨を依頼いただいたユーザーの皆様の満足度は高いです。

現在は手で研磨することはなく、CNC工具研削盤を使って同じ品質で再研磨工具を提供することができます。
品質の高さを評価いただき、リピーターが多いです。



服部:切削工具ユーザーと再研磨会社の2つの視点から提案してくれるのは、ユーザーとしては安心できますね。他社がまねできない強みを持たれていることがわかりました。

3. 再研磨.com公開後の反響

服部:再研磨.comを公開したことによる反響を教えてください。



宮本様:何をしている会社かわかりやすくなり、営業しやすくなりました。
展示会においても、コンセプトが伝わりやすいため、切削工具ユーザー(工作機械で切削加工されている方)の皆さまがブースに入ってきやすいという効果があります。

また、再研磨事業をしていることで、特殊切削工具が必要な部品加工を受注できたこともあります。

4. 再研磨.comのWEBマーケティングについて

服部:再研磨.comのWEBマーケティングについて教えてください。



宮本様:再研磨.comでは、ユーザー目線の情報をWEB上で提供することで、「再研磨の担当者が辞めたので外注企業を探していた」といったユーザーの問い合わせを増やすことができています。

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ただ問い合わせを待つのではなく、再研磨を担当している若手の方が中心となって、動画を撮影してYoutubeにアップロードしたり、Twitterで技術情報の発信することにも取り組んでいます。



服部:私もTwitterのアカウントをフォローさせていただいていますが、定期的にそして長期にわたって情報発信されていて尊敬いたします。発信されている内容としては、用語解説やよくあるご質問など、勉強になる情報が多いです。

5. 再研磨ビジネスの地域性

服部:再研磨の会社は地域性が強いと思うのですが、全国から依頼があるのか教えてください。



宮本様全国の切削工具ユーザー(工作機械で切削加工されている方)の皆さまと取引をしています。
地域差はほとんどなく、再研磨を依頼する切削工具ユーザーの近隣に再研磨会社がある・なしも関係ないと思います。

再研磨は地域に根ざしたローカルビジネスであり、再研磨事業を立ち上げることで近隣の会社との関係を荒らしたくなかったため、全国に目を向けて再研磨.comを開始しました。

6. どのような工具の再研磨依頼が多いか

服部:どのような工具の再研磨依頼が多いか教えてください。



宮本様再研磨の対象となる切削工具はドリル、エンドミル、リーマーで9割を占めています
材質はハイスか超硬、基本的にはコーティングまで対応することが多いです。

工具の種類と使用用途によっては、1つの切削工具を30回再研磨した実績もあります。

再研磨ができなくなるのは、短くなって使えなくなるか、コーティングでシャフトが太くなって使えなくなるかのどちらかです。
短くなって再研磨できなくなった切削工具は、改造して別の用途として活用されることもあります。

7. 再研磨のニーズや市場の変化について

服部:再研磨.com開始(2012年6月)以降の、再研磨のニーズや市場の変化について教えてください。



宮本様毎年のように切削工具メーカーから新しい製品が発売されており、中には再研磨しにくいものもあります。
再研磨が難しい新製品に関しては、切削工具ユーザー(工作機械で切削加工されている方)の皆さまに協力してもらいながら対応しています。

今後は刃先交換式の切削工具が増えていくと予想しています。
刃先交換式工具にも対応しており、2~3回は再研磨することができます。

また、年々被削材が硬くなり、それに対応した高硬度用の切削工具も増えており、刃先の仕様が特殊で再研磨が大変な場合もあります。

再研磨ビジネスは景気に左右されることがなく、新型コロナウイルスの影響もありませんでした



服部:再研磨が難しい新製品に対し、対応できるように取り組み続けられており、その積み重ねが技術力とサービス力につながっていると感じました。

8. 機械や砥石などの技術の進化について

服部:再研磨.com開始(2012年6月)以降の、機械や砥石などの技術の進化について教えてください。



宮本様切削工具メーカーの進歩が早く、機械や砥石に関しては、自社ノウハウを積み重ねながら対応している状況です。
そのため、新しい切削工具の再研磨は、毎回自社で試行錯誤しながら対応しています。

再研磨用の砥石の性能はほとんど変わっていませんが、特殊な切削工具の形状に対応する砥石形状が必要になっています。

編集長コメント

「日本産機新聞の特集「良い工具」が熱い」の記事で、トヨタ自動車が良い汎用工具の条件として、再研磨・再コーティング含めて生涯寿命が長いことを話されており、再研磨をテーマとした「切削工具の再研磨会社を分析」という記事を書きました。

「切削工具の再研磨会社 53社分析」の記事内で再研磨.comについて触れ、宮本製作所へのインタビューが実現しました。

WEB上には再研磨ビジネスに関する情報がほとんどなく、今回のインタビューでここ数年の動きを知ることができました。

数ある再研磨会社の中で、宮本製作所は切削工具ユーザー(工作機械で切削加工されている方)という一面を持った、差別化できる要素がある強い会社だなと感じました。

また、再研磨がローカルビジネスであることは予想できていましたが、宮本製作所が全国に向けて再研磨.comを発信されたことが素晴らしいです。

再研磨の技術的な側面に関しては、切削工具の進化に追いつくために日々試行錯誤する必要があることがわかり、積み重ねられたノウハウがさらに強みに繋がることを知ることができました。

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