切削加工業界に関する展示会の開催実績から今がわかるデータをまとめて確認したいと困っていませんか。
この記事を書いた私は工具メーカーでの営業・マーケティングの経験を活かし、切削工具と切削加工業界に特化した専門サイト「タクミセンパイ」を2020年から運営しています。
2023年時点で公開されている開催実績をわかりやすく表現、一部組み合わせて本記事を執筆しました。
本記事では日本最大の国際工作機械見本市「JIMTOF」と、日本最大級の工作機械見本市「MECT」の来場者数推移と新型コロナウイルスの影響、JIMTOF2022で見た切削加工業界の変化をまとめています。
この記事を読むことで、日本の2大工作機械見本市の来場者数推移と現状を把握することができます。
JIMTOF2022の来場者数は前回(2018年)から25.4%減った114,158人、MECT2019は前回(2019年)から23.6%減った68,929人であり、どちらも新型コロナウイルスの影響を受けたことがわかります。
切削加工業界の今を展示会の開催実績から徹底分析
本記事では切削加工業界の2大展示会である「JIMTOF」と「MECT」に関して、来場者数の推移や新型コロナウイルスの影響についてまとめています。
また、JIMTOF2022で確認された切削加工業界の変化について紹介します。
JIMTOFとMECTについて
切削加工業界の最新情報を入手できる展示会が国内には2つあります。
2年に1度開催されるJIMTOFとMECTは切削加工業界が最も盛り上がる期間です。
工作機械や切削工具の各メーカーは、この展示会にあわせて新製品を公開しています。
来場する切削工具ユーザー(工作機械で切削加工されている方)と機械工具販売店は、この展示会で新製品の実物を見て、商談するのを楽しみにしています。
メーカー、機械工具販売店、切削工具ユーザーのいずれにおいても、JIMTOFとMECTは重要な展示会であるといえます。
JIMTOF(ジムトフ)について
1つが2年ごと偶数年に東京ビックサイトで開催されるJIMTOF(ジムトフ)です。
正式名称は「JAPAN INTERNATIONAL MACHINE TOOL FAIR(日本国際工作機械見本市)」で、例年10~11月に開催されています。
JIMTOFについては2022年の記事として「【2022年】JIMTOFとは」「【2022年】JIMTOFの回り方」「JIMTOF2022レポート」を公開しています。
MECT(メクト)について
JIMTOFが開催されない奇数年にポートメッセ名古屋で開催されるのがMECT(メクト)です。
正式名称は「MECHATRONICS TECHNOLOGY JAPAN」で、こちらも例年10~11月に開催されています。
MECTについては「【2023年】MECTとは」「【2023年】MECTの回り方」「MECT2021レポート」を公開しています。
JIMTOFとMECTの来場者推移
JIMTOFとMECTの来場者数の推移が下記のグラフです。
JIMTOFはMECTと比較して来場者数が約1.5倍多いです。
来場者が多い理由としては、JIMTOFが世界4大工作機械見本市という位置づけであること、会場が東京であるためアクセスしやすいこと、開催期間が長いこと、出展社数が多いこと、海外の来場者が多いことなどが挙げられます。
リーマンショック以降に来場者が少し落ち込み、以降徐々に回復していました。
2020年は新型コロナウイルスの影響で緊急事態宣言が発出され、JIMTOF2020が中止となりました。
新型コロナウイルス発生以降、MECT2021とJIMTOF2022が開催されています。
JIMTOFの来場者数と新型コロナウイルスの影響
JIMTOF2018とJIMTOF2022の来場者数合計(開催期間中の重複なし)および海外来場者数合計(開催期間中の重複なし)を比較してみました。
JIMTOF2018 来場者数 | JIMTOF2022 来場者数 | |
全来場者数 | 153,103人 | 114,158人 |
海外からの来場者数 | 12,934人 | 4,686人 |
新型コロナウイルスの影響を受けていないJIMTOF2018の来場者数合計は153,103人で、2022年は前回から来場者数が25.4%減った114,158人でした。
機械工具販売店が企画するJIMTOF向けバスツアーの実施も2018年と比較して少なかったようで、国内来場者数に影響していると考えられます。
海外からの来場者も4,686人となり、前回から63.7%減少しています。
下記は2022年1月1日(土)~11月13日(日)の全国と東京の新型コロナウイルスの感染者状況をグラフにしたものです。
JIMTOF2022開幕前日の2022年11月7日(月)の新型コロナウイルス感染者数は全国が31,728名、東京が3,507名でした。
11月に入って全国および東京の感染者数は増加傾向にあり、第8波の可能性があると分析されていました。
ただ、行動の制限もなく、感染者数の報道もピーク時と比較して落ち着いていたため、特に気にすることなく参加された方が多いと考えられます。
MECTの来場者数と新型コロナウイルスの影響
MECT2019とMECT2021の来場者数合計(開催期間中の重複なし)を比較してみました。
MECT2019 来場者数 | MECT2021 来場者数 | |
全来場者数 | 90,244人 | 68,929人 |
新型コロナウイルスの影響を受けていないMECT2019の来場者数合計は90,244人で、2021年は前回から来場者数が23.6%減った68,929人でした。
下記は2021年1月1日(金)~10月23日(土)の全国と愛知県の新型コロナウイルスの感染者状況をグラフにしたものです。
MECT2021開幕前日の2021年10月19日(火)の新型コロナウイルス感染者数は全国が372名、愛知県が15名でした。
2021年10月17日(日)~23日(土)1週間の全国の感染者数は2021年の中でも特に少なく、ベストなタイミングでの開催でした。
感染者数が全国的に減少していたため、これまで展示会の視察を控えていた方も遠方から多く参加されたと考えられます。
JIMTOF2022で見た切削加工業界の変化
JIMTOF2022の来場者数はまだまだ新型コロナウイルスの影響を感じる結果でしたが、出展者からは質の高い商談ができた、来場者から直接製品を見れた・出展者と話すことができたなど、満足の声をたくさん確認できました。
Twitterの活用
JIMTOF2022で見た切削加工業界の変化としては、出展者・来場者が積極的にTwitterを活用していたことです。
Twitter発信でステッカーを配布する流行が2022年に発生したのですが、JIMTOF2022期間中は出展者からステッカーの配布情報が発信され、来場者のステッカーゲット報告のツイートがたくさん確認できました。
また、Twitterで参加を募って会場内でオフ会も実施されており、盛り上がっていました。
Twitterを通じてメーカーと切削工具ユーザー(工作機械で切削加工されている方)の交流が進み、展示会にわざわざ会いに来てくれるという集客効果を発揮されているシーンを確認することができました。
工作機械のトレンド
工作機械については「環境・省エネ・カーボンニュートラル」や「デジタルツイン」がトレンドワードであったと感じました。
切削工具のトレンド
切削工具に関しては下記の2つのテーマがJIMTOF2022で印象的でした。
- EV化に向けた切削工具メーカーの取り組みが加速
- 切削工具の新技術(センシングツールと金属3D積層造形)
EV化に向けた切削工具メーカーの取り組みが加速
JIMTOF2022では切削工具メーカー各社がEVを意識した製品・ソリューションを展示していました。
EVで需要が増すアルミについて、半導体に対する提案も多く確認できました。
JIMTOF2022取材記事として下記を公開しています。
切削工具の新技術(センシングツールと金属3D積層造形)
JIMTOF2022では、切削工具メーカー各社が新技術としてセンシングツール(センサ工具)と金属3D積層造形(Additive Manufacturing , アディティブマニュファクチャリング)を活用した切削工具を展示していました。
JIMTOF2022取材記事として下記を公開しています。
2023年最大規模の展示会MECT2023
2023年最大の切削加工業界の展示会としてMECT2023が開催されます。
名称 | メカトロテックジャパン2023 MECHATRONICS TECHNOLOGY JAPAN2023 (略称:MECT2023) |
会期 | 2023年10月18日(水)〜21日(土) |
会場 | ポートメッセなごや(名古屋市国際展示場) 新第1展示館・第2展示館・第3展示館 |
予測来場者数は70,000人で、MECT2021(来場者実績68,929人)相当が目標とされています。
MECT2023は新第1展示館が初めて活用されるため、会場としての新鮮さにも期待しています。
参加される方が「【2023年】MECTとは」と「【2023年】MECTの回り方」の記事をご活用ください。
切削加工業界の今を展示会の開催実績から徹底分析まとめ
- リーマンショック以降に来場者が少し落ち込み、以降徐々に回復していた
- 2020年は新型コロナウイルスの影響で緊急事態宣言が発出され、JIMTOF2020が中止となった
- 新型コロナウイルスの影響を受けていないJIMTOF2018の来場者数合計は153,103人で、2022年は前回から来場者数が25.4%減った114,158人だった
- JIMTOF2022の開催タイミングは、全国および東京の感染者数が増加傾向にあり第8波の可能性があると分析されていたが、行動の制限もなく、感染者数の報道もピーク時と比較して落ち着いていたため、特に気にすることなく参加された方が多かったと分析
- 新型コロナウイルスの影響を受けていないMECT2019の来場者数合計は90,244人で、2021年は前回から来場者数が23.6%減った68,929人だった
- MECT2021の開催タイミングは、全国の感染者数が2021年の中でも特に少なく、感染者数が全国的に減少していたため、これまで展示会の視察を控えていた方も遠方から多く参加されたと分析
- JIMTOF2022で見た切削加工業界の変化とし、出展者・来場者が積極的にTwitterを活用していた
- 工作機械について、「環境・省エネ・カーボンニュートラル」や「デジタルツイン」がトレンドワードであった
- 切削工具について、「EV化に向けた切削工具メーカーの取り組みが加速」と「切削工具の新技術(センシングツールと金属3D積層造形)」を会場で確認できた
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執筆者情報
本記事はタクミセンパイの服部が執筆・編集しました。
私は工具メーカーでの営業とマーケティングの経験を活かし、切削工具と切削加工業界に特化した専門サイト「タクミセンパイ」を2020年から運営しています。
私(服部)の実績や経歴については「運営について」に記載しています。
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