切削工具と切削加工業界の情報を発信するポータルサイト「タクミセンパイ」をご覧いただきありがとうございます。
当サイトを運営する編集長の服部です。
本記事では「切削加工業界の2022年」について振り返りました。
「切削加工業界の中でも切削工具をメインに振り返り、業界の動き・トレンド」について理解が深まる記事を目指して執筆しました。
【記事の信頼性】
本記事を書いた私(服部)は2014年から切削加工業界に携わり、2020年から「タクミセンパイ」を運営しています。
工具メーカーで営業として500社以上の切削工具ユーザー(工作機械で切削加工されている方)に訪問し、技術支援をさせていただきました。
また、マーケティングとして展示会とイベントの企画・運営、カタログとWEBサイトの大型リニューアルプロジェクト、ブランディングプロジェクトを経験しました。
営業とマーケティングの経験をもとに、切削加工業界で働く皆さまに向けて本記事を執筆しています。
切削加工業界2022年振り返り
切削加工業界の2022年を振り返り、業界の動き・トレンドについて下記4つを紹介します。
- 4年ぶりにリアル開催された大盛況のJIMTOF2022
- 切削加工業界でTwitterが営業ツールに成長
- EV化に向けて各メーカーの取り組みが加速
- 切削工具にイノベーションが起こりつつある
タクミセンパイでは切削工具を中心に情報収集・取材をしていることから、切削工具がメインの内容になっております。
工作機械については本記事では触れていませんが、2022年は「環境・省エネ・カーボンニュートラル」と「デジタルツイン」のキーワードに勢いがあったように感じています。
「【インタビュー】しぶちょーさんに聞く工作機械の今」でしぶちょーさんにお聞きした工作機械のトレンドが、2022年を象徴していたと思います。
4年ぶりにリアル開催された大盛況のJIMTOF2022
JIMTOF2022は下記の内容で開催されました。
名称 | JIMTOF2022 JAPAN INTERNATIONAL MACHINE TOOL FAIR (第31回日本国際工作機械見本市) |
会期 | 2022年11月8日(火)〜13日(日) |
会場 | 東京ビッグサイト(東京国際展示場) 全館 |
新しくできた南展示棟を含めた全館を使用し、JIMTOF2022は過去最大規模の開催となりました。
また、JIMTOF2018と違って火曜日スタートの開催となっています。
JIMTOFが開催された11月8日(火)~13日(日)の新型コロナウイルスの感染者数は増加傾向にあり、第8波と分析されている状況での開催となりました。
ただ、行動の制限もなく、感染者数の報道もピーク時と比較して落ち着いており、特に気にせず参加した方が多かったと考えらます。
JIMTOF2018の来場者数の合計は153,103人で、2022年は2018年と比較して25.4%減った114,158人でした。
2021年10月に愛知で開催されたMECT2021が、2019年と比較して来場者数が23.6%減った結果と比べると、同等の回復レベルだと考えられます。
海外からの来場者は4,815人で前回から62.7%減少しています。
まだまだ新型コロナウイルスの影響を感じる来場者数でしたが、出展者からは質の高い商談ができた、来場者から直接製品を見れた・出展者と話すことができたなど、満足の声をたくさん確認できており、JIMTOF2022は成功だったと考えています。
来場者の結果について詳しくは「JIMTOF2022レポート」に記載しています。
切削加工業界でTwitterが営業ツールに成長
MECT2021会期中もTwitterは盛り上がっていましたが、JIMTOF2022はそれ以上となりました。
もちろんJIMTOF2022がMECT2021より開催規模が大きいというのはありますが、今回は出展者だけでなく来場者も積極的にTwitterを活用していました。
Twitter発信でステッカーを配布する流行が誕生したのですが、JIMTOF2022期間中は出展者からステッカーの配布情報が発信され、来場者のステッカーゲット報告のツイートがたくさん確認できました。
また、Twitterで参加を募って会場内でオフ会も実施されており、盛り上がっていました。
これらの盛り上がりを見て、出展者はTwitterを活用すべきと感じました。
Twitterを通じてユーザーと交流することで、展示会にわざわざ会いに来てくれるという集客効果を発揮することがJIMTOF2022で確認できました。
また、Twitterを営業ツールとして活用し、顧客との接点を増やすことができれば、指名してもらえる企業・営業になれると確信しました。
切削加工業界でのTwitter活用はJIMTOF2022で終わらず、ハッシュタグを活用した投稿イベントが盛り上がり、大手WEBメディアへの掲載やTVでの紹介まで発展しました。
Twitterを活用している企業・個人の情報発信が、切削加工業界に影響力を発揮していると感じる1年になりました。
タクミセンパイもTwitterを活用しており、営業ツールとして手ごたえを感じております。
Twitter活用で学んだことを「バズりに頼らずTwitterフォロワー1000人を達成する7つのポイント」と「Twitterで毎日ツイートを続けるためのコツとネタ8選」で公開していますので、ご活用ください。
EV化に向けて各メーカーの取り組みが加速
JIMTOF2022では切削工具メーカーを中心に取材を実施しました。
切削工具メーカー各社がEVを意識した製品・ソリューションを展示していました。
EVだけでなく半導体とあわせてアルミ加工の需要が増えているということで「JIMTOF2022に出展されたアルミ加工用の切削工具」の取材記事を公開しています。
タクミセンパイでは、EV化が切削加工業界に与える影響について「EV化による切削加工業界への影響」の記事を公開していますので、ご活用ください。
切削工具にイノベーションが起こりつつある
JIMTOF2022では切削工具メーカーを中心に取材を実施しました。
切削工具メーカー各社の取材から感じたのは、切削工具にイノベーションが起こりつつあることです。
イノベーションは、センシングツール(センサ工具)と金属3D積層造形(Additive Manufacturing , アディティブマニュファクチャリング)を活用した切削工具です。
センシングツール
センシングツールは切削工具のIoT化ですが、最適な加工条件の算出、工具の個体差ごとの最適な寿命の把握が将来的に可能になっていくでしょう。
センシングツールの登場によって、金属の塊だった切削工具が電子機器になるということは、大きな変化です。
これまでとは全く異なる技術力・製造方法が必要になるため、この分野への参入は切削工具だけでなく機械やソフトウェアも扱う大手メーカー中心になると考えています。
会場で確認できたセンシングツールについては「JIMTOF2022に出展されたセンシングツール」で公開しています。
金属3D積層造形を活用した切削工具
金属3D積層造形を活用した切削工具を既に販売開始しているメーカーがあり、JIMTOF2022会場で驚きました。
金属3D積層造形は生産に時間がかかったり、コストが高いなどの課題はあるようですが、これまで実現不可能だった切削液流路が実現できるなどのメリットがあるため、市場に登場し始めています。
3DプリンターメーカーMarkforged社の事例記事に「Guhring UK(グーリングUK) における特殊切削工具の3Dプリンター製造」があり、1回限りの切削工具の生産を3分の1以下の時間で、かつ低コストで作成することに成功したと紹介されています。
さらに記事内では具体的な数値として、66%の生産時間短縮、75%の治具費用削減、60%の治具軽量化が紹介されていました。
量産用工具への適用拡大はまだ時間がかかるかもしれませんが、生産数量が少ない特注工具において期待できそうです。
金属3D積層造形に関しては初期投資が必要ですが、どの切削工具メーカーもイノベーションを起せると感じました。
会場で確認できた金属3D積層造形を活用した切削工具については「JIMTOF2022に出展された金属3D積層造形(AM)を活用した切削工具」を公開しています。
編集長コメント
「切削加工業界2022年振り返り」いかがでしたか。
JIMTOF2022以降、切削加工業界でTwitterが盛り上がっています。
私自身も活用しているため、Twitterが営業ツールとして成長していることを日々実感しています。
また、JIMTOF2022でセンシングツールと金属3D積層造形を活用した切削工具を取材し、切削工具のイノベーションが起きつつあることを確認し、ワクワクしています。
このイノベーション領域は海外も力を入れているため、日本の切削工具メーカーを応援する立場としては、頑張ってほしいなと思います。
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